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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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206

わたしの生き別れた弟なんです。


あ、違った。今の無しで!


ゴホン。


えー、正しくはわたしの生き別れた弟だったらいいなと思ってる者です!




シーン・・・




「ボソッ。その、ユウリ様…ご自分のおっしゃってる意味がお分かりですか?」


静寂が支配するなかスススと寄ってきたシルバくんが耳元で囁き、イケメンさんをひっぺがす。


うん。分かってる。

訳なわからないことを言ったことはわたしが一番理解してます。

でも、もう言っちゃったもんは仕方ないし、この際生き別れた弟だったらいいなと思ってる者で押し通す!


「・・・正気ですか?」


いいかい、シルバくん。

こういう時は堂々としてれば相手のほうが、あれ?間違ってるのは自分の方かな?と思ってくれればいいなと祈るしかないんだよ!


"あのー、分かってると思いますけど流石にそれは無理ですよ"


出たなケビン!ハウス!


"ひ、酷い…せっかく祈ってくれればいつでもどこでも話せるようになったのに…ユウリさんのすっとこどっこい!もう知らない!"


・・・ケビンはわたしの彼女か?

久しぶりにすっとこどっこいって聞いたなぁ。


あと…


薄々感じてたけど、やっぱり祈ったらいつでもどこでもケビンと通信できるようになってしまったのか…最悪だな…


「そんなのずるいっ!」


・・・は?

自分のしでかしたことについて現実逃避としていると、突然フリード様が叫んだ。


「生き別れた弟だったらいいな、なんてそんな風に思われてるなんてずるいっ!僕は?僕はどうなんだい!?」


いや、どうって…


女神(ミューズ)!僕のことをどう思っているのか教えてくれ!」


・・・


流石のわたしでも、フリード様のことは腹黒王だなと思ってるなんて言えるわけないやろ。

ど、どないしよ…えーと…


わ、わたし的には…


女神(ミューズ)的には?」


フリード様のことは…


「僕のことは?」



「は?」


ハ、ハンサムな王様だなって、思ってます…


「・・・なんか違う」


やはり、ダメか…


「欲しかった答えとは違う…ハンサムな王…いや、でも、それはそれでいいな…」


・・・いいんかいっ!


「で、女神(ミューズ)。その生き別れた弟だったらいいなと思ってる猫野郎はいったいなんなんだい?」


え?うーん、なんなんでしょうかね?


「えっ?」


村の襲撃に関わったことは確かなようで、十中八九帝国か呪術師の関係者だとは思うんですけど、詳しいことはまだ何にも聞いてなくて…

主犯さんたちなら知ってるんじゃないかと思って連れてきたんですけど。


「ユウリ様、まさかどこの馬の骨とも知らないものをくっ付けていたのですか?」


うん。全くもってどこのどなたなのか存じ上げてないです。


「・・・」


いやね。聞くタイミングがなかったのよ。

それに『ヒール』したらどす黒い紫色の煙が出たから魅了とか幻惑をかけられてたみたいで、もしかしたらイケメンさんは何にも知らない場合もあるかもしれないし、それなら計画した人に聞いた方が早いかなぁと、そう思ったわけよ。


ってことでボロ雑巾と化した皆さん。

このイケメンさんはどこのどなたなんでしょう?


「「「・・・」」」


返事がない。ただの屍のようだ。

仕方ない…本当はこんなことしたくないんだけど…




アセナさん、やっておしまいなさい。




これによりボロ雑巾さんたちは素直に質問に答えてくれるようになりましたとさ。



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