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現在わたしはいまだごめんなさいとギャン泣きする王城くんに正面から抱きつかれ、フーシャーと威嚇するイケメンさんを背中にひっつけたままレオくんよる説教を受けていた。
「ユウリ様、さっきちゃんと分かってるって言ってましたよね?」
はい…
「では何故英雄様がこんなにも泣いているのでしょうか?」
それは、そのー「言い訳なんて聞きたくありません!」
えー…
「これはシルバさんに報告しますからね!」
なっ!ちょ、待って!
お願い、シルバくんは召喚しないで!
「私がどうかしましたか?」
ビクッ!
「シルバさん、これ見てください!ユウリ様が英雄様を泣かしたんです!」
あ、いや、違うのよ!これは、その…
「・・・」
・・・終わった。これは完全に終わった。
「レオ…ユウリ様に期待をしてはいけないと何度も言ったではありませんか。そんなことより王都に戻りますので、とりあえず英雄様を貴方がなだめて差し上げなさい」
「はっ!そうでした。すみません…ユウリ様を信じた私がいけませんでした…」
「分かればいいのですよ。それと猫野郎はいい加減ユウリ様から離れ「嫌です!」
「「・・・」」
ベリッ!
結局、王城くんはレオくんが、イケメンさんはシルバくんによって強制的に引き剥がされ、わたしは心に深いキズを負った…
その後レオくんとガルくんと王城くんはフェルくんが戻ってくるまで村で待機することになり、わたしとシルバくんとロープでぐるぐる巻きにされたイケメンさんは一足先にテオバルトさんたちと共にお城に向かうことになった。
傷心のあまり動けなくなったわたしは例のごとくシルバくんにくくりつけられて運ばれました。
そんなこんなで到着したお城では、ニコニコ笑顔のフリード様とげっそりとやつれたパウルさんの他に顔が真っ青なおじ様たちとボロ雑巾と化した数人のおじさんたちが待っていた。
ボロ雑巾がやらかした外道さんたちか…
「女神、面倒をかけてすまない」
いえいえ、降りかかる火の粉を全力ではらっただけですから。
どうやら取り調べは終わったようですけど、全部白状しました?
「もちろん、白状させたよ」
で?なんとなく想像がつきますけど自分達の不始末を魔女に押し付けるだけじゃ飽きたらず村を襲撃した理由はなんだったんです?
「今回の襲撃はすべて魔女の仕業によるものとして、それを撃退することで今までのことを挽回しようとしたそうだ」
まぁそんなことだろうと思いましたよ。
それで、魔女を撃退するはず兵士が村の人たちを襲っていたのは…
「証人を残すなという指示をしたからだろうね」
ふーん。要は最初から村の人たちを全員コロコロするつもりだったわけですね。
で、それも全部魔女であるわたしのせいにするつもりだったと。
「そうみたいだね。全く僕の女神を魔女だとか、国の宝である民を殺そうとするなんて…死んでも許せないよね?」
・・・怖っ!
「そういうわけで今回この許されざる計画をした者もそれに加担した者も死んだ方がマシだと思える罰を与えるつもりだから。覚悟しとおいてね?」
えーと、ちなみに死んだ方がマシだと思える罰っていうのは…?
「フフフ…内緒だよ」
・・・さいですか
「ところで僕の女神」
なんですか?
「君の背中にくっついてる猫野郎はなにかな?」
例によってシルバくんによってぐるぐる巻きにされていたはずのイケメンさんは現在わたしの背中にべったりくっついていた。
よくあのぐるぐる巻きのロープから抜け出せたもんだよ…
「女神?」
はい。現実逃避してる場合じゃないですね。
えーと、その……
わ、わたしの生き別れた弟なんですっ!