200
200話です。
とりあえず今日は帰ると言って、3人は残念なものを見るような目をして去っていった。
理由はわたしが机に突っ伏して絶望にうちひしがれていたから。
だって、農業大国なのに大豆知らないって言うんだもん…
お米も作ってないし、最近は東の国から船が来ないからまったく流通して無いって言うんだもん…
グスッ
「ユウリ様、戻りました」
絶望している間に夕方になっていたようで、買い物に出掛けていた皆が帰ってきた。
おー、おかえ…
何、その大量の荷物はっ!?
顔を上げれば全員が足しか見えなくなるくらい大量の荷物を持っていた。
「何処でもお嬢様方は親切すぎて困りますね…」
ドーン
「おまけ、たくさんくれた…」
ドーン
「本当に、皆さんパワフルでしたね…」
ドーン
「オレはもう二度と買い物になんかいかねぇぞ!行かねぇからな!」
ドーン
「オバサン、コワイ。オバサン、コワイ。オバサン、コワイ…」
ドーン
どうやらここでもおばちゃんたちは最強だったようだ。
しかし、おこちゃま2人はどうしちゃったんだい?
「その、今回は皆さん小さい子がお好きだったようでして…」
「それで、気づいたら物凄い数の人に囲まれちゃいまして…」
「大変だった…」
・・・お、お疲れ様でした。
わたしは荷物を素早くアイテムボックスにしまうと、飲み物を注文した。
皆は届いた飲み物を一気に飲み干すと、机に突っ伏して動かなくなってしまった。
こりゃ、今日はもうダメだな…
幸いここは宿の食堂だし、さぁ皆、疲れてるのは重々承知してるけどこのままじゃ迷惑になるから部屋へ行くよ!
わたしの掛け声で皆はユラユラ、フラフラしなが立ち上がると部屋へ向かって歩きだした。
おばちゃん、恐るべしだな…
皆が部屋に入るのを見届けてからわたしも部屋に入り、早々にスヤァした。
夢を見た。
たくさんのケビンとさくさんのゆみちゃんに囲まれて揉みくちゃにされるという恐ろしい夢だった。
しかし、その恐ろしい夢は激しく叩かれるドアの音で終わりを迎えた。
ドンドンドンッ!
はっ!死ぬところだった…
部屋は明るく、朝をむかえていた。
「ユウリ様っ!起きて下さいっ!」
シルバくんの緊迫した声にわたしは慌ててベットから起き上がるとドアを開けた。
「ユウリ様、朝早くから申し訳ありません」
いや、大丈夫。
むしろ起こしてくれてありがとう。
で、そんなに慌ててどうした?
「とりあえず、こちらの部屋にお願いします」
部屋に入ると
「ユウリさん!お願いです!この子を助けて下さいっ!」
王城くんが駆け寄ってくる。
その腕に抱えられていたのは傷だらけのハンサちゃんだった。
ハンサちゃん!?
直ぐに『ヒール』をかければ、ぐったりしていたハンサちゃんが突然暴れ出す。
「大丈夫だよ。もう怖くないよ。よく頑張ったね」
王城くんが優しく撫でると、さっきまでの大暴れが嘘のようにハンサちゃんが大人しくなり、動かなくなってしまった。
あれだけの傷だ。しばらくは休ませてあげないと…
「ユウリさん!村が、村の人たちが襲われてるって!」
っ!シルバくんはお馬様に乗ってすぐにフリード様にこの事を伝えて!
レオくんとガルくんはシルバくんが戻ってくるまで王城くんと宿で待機。
フェルくんはわたしと一緒に来て!
アセナっ!いるんでしょ!?
わたしは窓から大声でアセナさんを呼ぶ。
"ここにおる!"
わたしは急いで部屋に戻ると着替えてアセナの元へ向かった。
わたしの後を王城くんが追いかけてくる。
「ユウリさん!ボクも連れていって下さい!」
ダメよ。今は王城くんを連れていけない。
「イヤです!ボクも行きます!」
シルバくんが戻るまでここで待ってて。
「何故ですか!?お願いです。ボクも一緒に連れていって下さい!」
・・・何故?それはあなたが足手まといだからよ。
「っ!」
レオくん、ガルくん、あとは任せるから。
「はい、ここはお任せください」
・・・ごめんね。
「どーんと任せてくれよ!」
ありがとう。じゃ、お願いね。
わたしは俯く王城くんの脇を抜け、レオくんとともにアセナに乗ると襲撃を受けているという村へと向かった。
ついに200話に到達いたしました。
PVも20万を越え、総合評価も500pを越えました。
ここまでこれたのも読んでくださる皆さんのお陰です。
本当にありがとうございます!
これからもユウリたちの旅にお付き合いいただければ幸いです。
よろしくお願いします!