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結果的に『ヒール』のお陰で処罰は免れたが、再びお城へ向かうことになってしまった。
あれ?前回より明らかに人が少ないな。
えーと、いなくなっちゃった人たちは…
ニコッ
フリード様の意味深な笑顔でなんとなくお察しして、それ以上は聞かないようにした。
で、お呼ばれされた理由ってなんでしょ?
「実は…」
パウルさんとテオバルトさんの話によると、村人にジョブチェンジした兵士の方々が、農業に目覚めてしまったそうで。
そのため兵士への復帰を望んでおらず人手不足で困っているとのこと。
あらー。それは大変。
確かに村の人たちの半分近くは元兵士さんでしたね。
「そうなんです…あの、ユウリ様。この現状を打破する何かよい方法はありませんか?」
え?何でわたしに聞くのさ?
「かくれんぼ作戦の発案者で、村でもあれこれ采配されておりましたし、是非ともその知恵をお貸しいただければと…」
確かに発案はしたけど、それことこれとは関係なくない?
念のため聞くけど、ちゃんと王国として色々考えた末での相談なんだよね?
「「・・・」」
おい。なんで黙りやねん。
お?丸投げか?わたしに丸投げですか?
「その、聖母様であるユウリ様の言うことなら皆も聞くのではないかと思いまして…」
・・・却下。
相談じゃなくて完全に人任せとかありえない。
大体、そんなわたしありきの政策が上手くいくと本気で思ってるわけ?
「「・・・」」
・・・今回のお話しは無かったこということで、失礼します。
「「ユ、ユウリ様お待ち下さい!」」
わたしはパウルさんとテオバルトさんの引き留める声を無視して城を出た。
「よろしかったのですか」
何が?
「何だかんだと言って、ご相談に乗られるのではないかと思っておりましたので」
わたしはシルバくんを無言で見つめる。
「出過ぎたことを申しました」
・・・別に怒ってない。
「そのようには見えませんが?」
くっ…
あーもー!確かに感情的になってるのは認める。
だとしても、今回の相談には乗るつもりはない!
「聖母様へのご相談だからですか?」
・・・嫌なやつ。
「ありがとうございます」
褒めてないよ。どこにそんな要素があったよ?
「では、すぐにでも東の国へ向かわれますか?」
そのつもり。
「承知いたしました」
「あのぅ…」
あ、ごめんごめん!
お城も出だし、もう好きに話してもらって大丈夫です。
実は今日、フリード様たちに会う前にみんなにお願いしたことがあった。
それは、わたしがオッケーを出すまで話しをご遠慮いただくこということ。
なんでそんな事をしたかっていうのは…「あの!ユウリさん!」
はい、王城くん。なんでしょう?
「なんで助けてあげないんですか!?」
うーん、なんでかぁ
それを含めてこれから色々と話そうかね。
ぐるるるる…
・・・・・
ご、ご飯を食べながらね。