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早速やらかした国王様。
それによって開始された説教はまったくもって止まる様子がない。
流石にまた抱きつかれてはたまったもんじゃないので、今回はお説教を止めることはしない。
することもないのでお説教を聞いていれば3人は幼なじみの腐れ縁。
どうやらこのフリード国王様はかなり博愛精神に溢れる方で、老若男女はもちろん種族や身分にかかわらずどんな人にでも優しいかなりの人たらしのようだ。
まぁ、イケメンに優しくされて悪い気はしないわな。
しかしその博愛精神が原因で、
"わたしこそがフリード様の一番特別なんだ!"
と勘違いしてしまう人が大量発生し、様々なトラブルが絶えず起こる。
そしてその様々なトラブルの矛先が必ずと言っていいほど、パウルさんやテオバルトさんに向かうというのがお約束のようだ。
あれ、なんだか他人事とは思えないな…
わたしの場合はゆみちゃんとか、ゆみちゃんとか、たまにケビンとかだったけど、被害を受けた期間は僅かな間のこと。
でも、2人は違う。
幼なじみの腐れ縁なばっかりに、物心ついたときからずーっととばっちりを受けているってんだから、そりゃお話が止まらないわけで…
でもまぁ、その人たらしのお陰で国王様はコロコロされずに済んだのではなかろうかと思わんでもない。
そんなこんなで今日もこのまま話はせずに解散かと思った時だった。
なにやらお店から言い争う声が聞こえてきた。
「お、お辞めください!」
「うるさい!邪魔をするな!どけっ!」
バンッ!
「フリード様を出せっ!」
いきなり扉が開いたかと思ったら鎧を着た兵士が雪崩れ込んできた。
うおっ!何事?!
「ユ、ユウリ様!申し訳ございません」
ブラックシャドウである奴隷商人さんが慌てて近寄って来るが、その頬には明らかに殴られた跡があった。
・・・・・
わたしはすぐに『ヒール』をかけると、風魔法をまとい兵士の塊に突撃した。
そして現在。
わたしたちはお城にいた。
あの後雪崩れ込んできた兵士をぶっ飛ばし(扉とか部屋の一部もぶっ飛ばした)、丁重にお話を伺った結果。
国のお偉いさんたちからの命令だとボロボロの兵士は白状した。
なので今度はそのお偉いさんたちとやらとお話するべくお城に乗り込んだというわけです。
このお偉いさんたちにはパウルさんとテオバルトさんだけではなく、フリード様もお話があるとのことで一緒だったるする。
突然の国王様の帰還に城は大騒ぎ。
そして明かされた国王様が行方不明になった本当の理由は…
「「「フリード様をわたしだけのものにしたかった」」」
というお偉いさんたちの一言で判明。
そして繰り広げられるフリード様にふさわしいのは俺だ!選手権。
・・・ここは本当に国の中枢か?
お偉いさんたちの話を要約すると。
自分だけに優しくしてほしいから、拐って閉じ込めてたが、そんなことを他のものが許せるわけもなく、国王様はたらい回しにされてたと思っていたけど、実際は奪い合いだった、と。
そして何故か怒りの矛先はパウルさんとテオバルトさんへ
「「「フリード様ずっと一緒なんてずるい!」」」
・・・・・
もうここまで来ると人たらしって言うか呪われてるんじゃないかな。