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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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さてさて、この中で一番偉いのは誰かな?


「「「・・・」」」


盗賊たちの視線が明らかにおかしな方を向いている一人の男に注がれる。


ほう、そいつがトップか。

わたしの質問に無視とはいい度胸ではないか。そんなことをすればどんな目に遭うのか思い知らせてやろう。

アセナさん、やっておしまいなさい!


アセナさんの口がガバッと開く。


「ひっ!あっしです!あっしが頭です!どうか命だけはお助けをっ!」


カプリする前に元気な返事が返ってきた。


チッ。次はないものと思え。


「へ、へい!すいやせんでした!」


そう言って自称お頭は地面にめり込む勢いで頭を下げた。


分かればよろしい。

さて村を襲っているところを現行犯で取り押さえましたので、君たち全員をしかるところにつきだします。覚悟しぃや!


「そのぉ…お嬢ちゃんは俺等が泣く子も黙るゴロッツキー一家と知ってそんなこと言ってらっしゃがりますか?」


・・・?


「え?!ちょっと待ってくだせぇ!あの一応100年以上の歴史があって、由緒正しき、誰もが知ってる有名なゴロッツキー一家ですぜ?!え、まさか、ご存知…」


ありませんね。


「・・・う、うそだっ!」


いやいや、なんで嘘つかなきゃならんのさ。知らんもんは知らん。

だいたい盗賊に由緒もへったくれもないでしょうが。


「・・・」


わたしの存じ上げない発言がかなりのショックだったようで、うつむいたままお頭は動かなくなってしまった。


えーと、なんかごめんね?

それでその由緒正しいゴロッツキー一家とやらはこれで全員なのかな?


「いえ、あと5人ほど飛び出してったはずなんですが戻って来てねぇようで」


あぁ、その5人なら別の場所で木に括りつけてるから問題ないよ。

でもまさか由緒正しい盗賊がこれで全部ってことはないよね?


「・・・これだけです」


アセナさん。


「え、いや、本当は、ギャーッ!!!」


反応が遅れたお頭はアセナさんにカプリされ気絶してしまったので、再度ガルくんにお願いしてデコピンをお見舞いしてもらう。


「〜〜〜っ!」


ガルくんのデコピンで悶絶しているお頭に再度問う。


由緒正しい盗賊がこれだけってことはないよね?


「は、はいっ!村に来たのはこれだけですが、根城にはまだ100人以上いますっ!」


根城なんかあるのか。厄介だな…

そのうち根城から応援が来るかも知れないし、どうしたもんか…


「ユウリ様。少々よろしいでしょうか」


ん?シルバくんどうした?


「これまでの道中で退治した盗賊ですが全てゴロッツキー一家でしたがご存知…」


えっ、そうなの!?


「無かったようですね」


も、もしかして村だと思ったら盗賊の拠点だった場所があったけど、それが…


「ゴロッツキー一家の根城になります」


「え?根城が…」


あー、なんかすまん。パートⅡ


「これじゃ俺たちゃ依頼が達成できないってことじゃ…もう終わりだ…俺たちゃ終わりだ…」


ちょっと待って。

今、依頼って言った?


「へ?へぇ。俺等ゴロッツキー一家は子どもをさらってこいっていう依頼が起源でして、その依頼だけでここまで大きくなりやしたけど…」


は?100年以上も?その依頼だけで?


「へぇ。ずっとそれだけです。依頼人が欲しいのは子どもだけでいいってんで。それ以外の奪ったもんはそのまま俺等のもんになって報酬もいいただけるってんで…いやいやそれどころじゃねぇ!他の奴らも取っ捕まったってんなら…このままじゃ俺等、依頼主にどんな目にあわされるか…お願いします!助けてくだせぇ!」


まさか盗賊から助けてくださいと言われる日が来るとは…


助けるもなにも、こうなったら牢屋に入るか、どっかの炭鉱とかに連れていかれたほうが逆に安全なんじゃない?

っていうかそもそも逃がすなんていう選択肢なんかないからね。


「で、ですよね…」


ゴロッツキー一家の皆さんは全てを悟ったというか諦めたのか、最終的に自首することになった。


しかしいくら自首するとは言え、途中でドロンする可能性もなきにしもあらずなのでフェルくんとレオくんとアセナさんに引率をお願いする。


そして盗賊たちは自分達が乗ってきた馬に跨がると襲われた村の人たちが心配になるほど弱々しい足取りで村を去っていった。



こうして由緒正しき盗賊のゴロッツキー一家は終わりを迎えたのだった。




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