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翌日、わたしは切り倒された木をアイテムボックスを使って大量に運搬していた。
フウジの山の裾野はそれなりに開けてはいるが城や城下町をつくるにはいささか狭く、建築資材確保の観点からも木を切り倒していた。
で、わたしはその切り倒された木を建設中の城や温泉宿に運ぶ仕事をしているわけです。
ちなみに他の皆は木を切り倒す方をお手伝いしている。
何故そんなことになったのか。
温泉街の言い出しっぺとして少しくらいは手伝いをしたいと申し出たから。
それにカーザの街道はどこもかしこも悪路過ぎて一度に運搬できる量に限りがあるそうで。
別に他に出来ることが無かったわけではない。
ちなみに茶山さんは早速建築現場に向っている。
他の英雄さんたちも帝国からの脱出の際にお世話になったということで、それぞれ出来そうなことをお手伝いしている。
わたしは手ぶらで荷物を運びながらふと思う。
土魔法でこのデコボコな街道の整備が出来ないものか?と。
試しに土魔法で足元をならしてみれば…
そこには平らな地面が出来ていた。
こりゃ、いけるで。
ただわたしの魔法の範囲じゃ足元くらいが精一杯なので、道の端の方を歩きながら少しずつ平らにしていく。
するとわたしの通ったあとには平な道が出来ていた。
荷物を届けると、今度は先程とは逆の道の端を歩きながら同じように平らにしていく。
何度か往復すると、完全に平な道が出来上がった。
日が傾きはじめた頃、今日の作業は終了となり切り倒し班が朝はガタガタだったはずの道が平になっていることに驚いていた。
「これは…ユウリ様の仕業ですか」
シルバくん、仕業とはなんだね。
これで運搬が楽になるってもんよ。
「何をしたのですか」
何って土魔法でちょちょいって。
このわたしの言葉に絶句する皆さん。
ん?またなんかおかしなこと言ったかいな?
「土魔法をそんな風に使うなんて…」
あっ、そっちか。
むしろ今まで誰も土魔法の活用法方に気が付かなかったことにわたしは驚きを隠せないけどね。
このわたしの土魔法の活用方法の発見により、カーザの建築速度や街道整備が飛躍的に早くなることを知るのは先のはなし。
お手伝いを終えて宿舎に戻ると、レイアさんがわたしに会いたいと言う人が来ていると言って広間に案内される。
はて?わたしに会いたいなんて誰や?
ブラックシャドウかな?
案内された広間にいたのは、なんとも妖艶雰囲気が漂う美女だった。
大きく開いた胸元はばいんばいんのたわわなお胸がその存在を主張していて、かなり際どいスリットが入ったタイトなスカートからはすらりとした白い足がのびていた。
色々と釘付けになっていると、妖艶美女がわたしの前までくると、お辞儀をした。
「ご挨拶に伺うのが遅くなりまして申し訳ございませんでした。ブラックシャドウを仕切らせていただいております、ロクセラーナと申します。以後お見知りおきを」
妖艶美女はまさかのブラックシャドウのテッペンだった。