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日が完全に暮れて辺りが真っ暗になった頃、わたしはカーザに到着した。
フェルくんがお迎えに来てくれていて皆がいる場所へ案内してくれる。
案内されたのは建設途中のなんかすごい大きな建物の横にあるこじんまりとした宿舎で出迎えてくれたのはゼロスさんとレイアさんだった。
ん?なんかお二人とも若返ってないか?
「ユウリさん、お久しぶりです」
お久しぶりです。
いやぁ、再会はもっと先になるかと思ったんですけど。
「いえいえ、またお会いできて嬉しい限りです。しかも仕事まで紹介していただいて」
急なことで本当に申し訳ないです。
「いやいや、感謝しかございませんよ」
でも…
「本当に感謝してるのよ。この人あなたたちがいなくなってから急に老け込んじゃって、このままじゃボケちゃうんじゃないかって心配したくらい」
「そういうわけで、今は楽しくて仕方ないくらいです」
そう言ってもらえるとありがたいです。
「さ、いつまでも立ち話じゃなんですから中へどうぞ」
宿舎の広間には先に到着していた皆がいた。
「お姉様!」
お姫!ひしっ。
わたしは両手を広げて駆け寄ってきたお姫を抱きしめた。
「またお会いできて嬉しいですわ」
わたしも。元気にしてた?
「はい。それに素敵な方をご紹介くださってありがとうございます」
そう言ってゼロスさんとレイアさんの方を見る。
っていうかここにいて大丈夫なの?
「問題ございませんわ。今やカーザの中心はフウジの山の麓ですから。お城も新たに建築中なんですのよ」
えっ?
温泉街とか闘技場がある場所にお城つくって大丈夫なの?
「温泉街は城下町を兼ねる予定で、闘技場は少し離れたところに作る予定ですから問題ございませんわ」
そっか。皆で話し合って決めたんだね。
「はい。色んな方の意見を聞いてようやく建設が始まったところですの」
その後帝国からちょっかいかけられてない?
「大丈夫ですわ。それより帝国が滅んだ言うのは本当ですの?」
うーん。滅んだって言うか…王様が変わるから滅んだってことになるのか。
でも、あちこちにちょっかいかけてた元凶は帝国から居なくなったから少しは安心していいよ。
油断は禁物だけど。
「そうなのですね。新しい方はお話が通じる方でしょうか?」
それは、お姫が実際に会ってみて決めたほうがいいんじゃないかな?
「私としたことが、そうですわね。近々ご挨拶に伺うことにしますわ」
お隣さんだもんね。
でもしばらくは帝国もバタバタだろうし、温泉街がで来たときには呼んであげてね。
「まぁ、それは素敵な案ですわ。早くお呼び出来ように頑張らないといけませんわね。ただ中々人手が足りなくて…」
そうだと思いまして、茶山さーん!
「呼んだか」
はい。こちらこの国の王女様です。
で、こちら英雄の茶山さん。
建築関係のお仕事がしたいという事でカーザをお薦めして働いてくれるそうです。
「えっ、英雄様がですか!?」
まぁ、帝国で色々あってね。
英雄様方はこれから色んなところで己のやりたいことをしようってことになったのよ。
「そうなんですか…ですが、本当によろしいのでしょうか?」
「問題ない。これからよろしく頼む」
「いえっ、こちらこそよろしくお願いいたします!」
ってことなのでゼロスさん、レイアさんもよろしくお願いしますね。
「いやぁ、ユウリさんには驚かされることばかりですな」
あはは。
驚かそうとは思ってないんですけどね。
なんかすみません。