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目が覚めて、飛び込んできた木目の天井に今回は驚くこともなく起床する。
ついに旅立ちの朝を迎えた。
不安と期待が入り交じって不思議な気持ちです。
身なりを整えているとドアがノックされた。
「「おはようございます。ユウリ様。」」
ドア開けると分かってはいたがイケメンがいた。
朝からキラキラしてますね。目が痛いです。
2人と一緒に食堂に向かえばどうやら私たちが一番乗り。おいしい朝食を食べ、宿を出ればいよいよ街の外へと向かう。
異世界に召喚されて3日目の朝。
私はついに旅立った!
街にある門から外に出ると、そこには草原が広がっていた。
遠くに山が見え、道は一本道。まるで散歩しているかのような気軽さでルンルンと道を歩いていた。
途中までは…
「ユウリ様、無理はせずそろそろ休憩にいたしましょう。」
最初の軽快さは何処にいったのか、私の体力が思ったより無さすぎて休憩が多く進みは早くない。
まさかこんなに体力が無いとは…
でも元の世界では事務職で運動とか一切してなかったし、超インドアだったもんなぁ。
2人によるとかなりのんびりしたペースで進んでいるが、それでも暗くなる前には到着できそうだとのことで安心した。
「ユウリ様、この葉は切り傷に効きます。こちらの葉は毒があるので口にしないようにお気をつけください。」
休みのタイミングでシルバくんが近くに生えている草について教えてくれる。
食べれるもの、怪我に効くもの色んな種類があって、その度に鑑定をしてみるが草としか表示されず途中でやめた。
鑑定で生計を立てるにはまだまだ修行が必要なようです。
っていうか、使える日が来るのかさえ怪しくなってきたな。トホホ…
フェルくんは魔物について教えてくれた。
「魔物は目、赤い。でも食べられたり、服や武器の素材になるものが多い。」
魔物って食べられるんだ。最初に食べたようと思った人、凄いな。
こんな感じで何度目かの休憩を取り、行程の半分を過ぎた頃フェルくんがネズミの魔物を発見した。ついに魔物と初遭遇です。
「ユウリ様、見える?」
ちょっと道から離れたところを指されだが、私には全くもって分からない。
はー、凄いねぇ。あんなに遠いのによく分かったね!
と言うとフェルくんは顔はいつもと変わらないけど尻尾がものすごく揺れていた。
え、可愛いんですけど。
フェルくんが尻尾をブンブンしている間にシルバくんが静かに弓を構えて矢を放つ。
矢は見事に命中したようで、はじめての魔物との遭遇は危険を感じることなくあっという間に終了した。
「ユウリ様、矢の回収と仕留めた獲物を確認しにいきましょう。」
シルバくん見えてたんだ。しかも一発で仕留めたとか凄いなと感心していると、矢を回収する為にネズミの元に向かうという。ちなみに矢は消耗品なので回収出来るときは回収して、再利用するそうだ。
ネズミの元に到着すると、シルバくんの放った矢によって地面に縫い止められ、辛うじて生きていた。
ただわたしの知ってるネズミとは違いサイズは小型犬並みで、物凄く尖った歯と牙が生えていた。
そしてフェルくんが教えてくれた通り、目は赤かった。
元の世界じゃ、赤目のネズミもいたけどね。
「まだ、息があるようですね。仕留めてみますか?」
え、無理です。
「仕留めたら、レベルあがる。」
2人曰く、少しでも私のレベルをあげてより安全に旅が出来るようになればと思っての提案だった。
「無理はしなくても大丈夫ですよ。」
とんでもなく顔がひきつっていたのだろう。気を使われてしまった。ただ、2人の言うことはもっともでいつまでもレベル1でHP平均以下のままでいいわけはなく。
いつまでもお荷物ではいられない!
覚悟を決めてフェルくんに剣を借りて止めを刺すことにする。
「無理しないで。」
そう言って渡された剣は思った以上に重くて、手から滑り落ちてしまう。
あっ!
慌てて拾い上げようと屈めば、剣の落ちた先には天に召されてしまっているネズミさんがいた。
ちょっと刺激の強い絵面になってしまったネズミに驚いて慌てて立ち上がると、唖然としているイケメンが視界に飛び込んできた。
・・・えーっと。
これって倒したことになりますかね?