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微妙な空気になったしまったが、とりあえず本来の目的である帝王様からのおじいちゃんの現場復帰要請を伝える。
「まだ、こんな老いぼれを必要だと言っていただけるとは光栄です。私の全てを帝国に捧げる所存です」
じゃ、そのように帝王様に伝えます。
えっと、帰る前に一つ聞いてもよいですか?
「私が答えられることであればなんなりと」
初めて会ったときとキャラが随分違う気がするんだけど。
「お恥ずかしい話。あの時は色々と行き詰まっておりまして、その、聖母様を前に気持ちが高ぶったといいますか、少々ハメを外してしまいまして…」
なるほど、なるほど。
でもわたし、あの時のおじいちゃん嫌いじゃないよ。
「ご勘弁を…」
顔を真っ赤にしたおじいちゃんにわたしは感謝を述べる。
でも、おじいちゃんが助けてくれなかってらわたしはとっくの昔に天に召されてたと思います。
色々とご尽力くださり、ありがとうございました。
「いえ!そんな、お礼を言われるようなことは何一つしておりません!」
いや、いっぱいしてもらいました。
わたしは最初にあなたに会えて本当に幸運でした。
「そのように、言って頂けるだけで…」
そう言っておじいちゃんは目を潤ませて、言葉を詰まらせた。
落ち着いたおじいちゃんは色々と準備してからお城に伺うとのこと。
とりあえずお使いは終了という事でわたしたちはお城に戻り、おじいちゃんに復帰の了承を得たことを帝王様に報告した。
ちなみに帰りの道中、わたしたちは色々な気まずさから無言だった。
目をそらされたことなんか全然気にしてないんだからと思いつつ、もう少しちゃんとしようと思いました。
明日はいよいよカーザに向かうわけだが、その前に皆に確認しておこうかな。
英雄さんたちだけじゃなくて、皆の今後の希望について。
ってことで皆に集まってもらって話をすることにした。
えー、皆さん。
帝国からの追っ手もこれで無くなりました。
今後について話し合いたいと思います。
「ユウリ様」
はい、なんでしょう。シルバくん。
「私たちは用済みということでしょうか」
ん?
「旅のおともはもう出来ないのですか?」
んん?
「私たち以外に誰がユウリ様の面倒を見ることが出来るでしょうか?いえ、無理です。不可能です!」
ちょっ、
「ユウリ様の常軌を逸した言動」
・・・
「本能のままに何をしでかすか分からないユウリ様をお止めできるのは私たち以外におりません!」
・・・・・
「そもそもユウリ様が聖母様だから一緒にいるのではないのです」
えっ…
「大体、こんな危険人物を野放しになど出来るわけが無いではありませんか!」
・・・・・
おいこら、誰が危険人物じゃっ!
黙って聞いてれば言いたい放題言いおってからに。
なんじゃ!そんなに不満があるなら奴隷契約を解除してやんよ!好きなようにしたらエエがな!
「いえ、それは困ります」
あん?
「私はユウリ様に救って頂いたときから全てを捧げると誓ったのですから。皆はどうです?」
「シルバズルい。ユウリ様、ずっと一緒にいたい」
「私も、これからもユウリ様のお役にたちたいです」
「オレはユウリの姐さんにまだまだ恩返しがしたいんだけどな」
シルバくんの問いにフェルくん、レオくん、ガルくんが答える。
わたしはあまりの恥ずかしさに部屋から逃げ出した。
急になんなのさ!意味わかんない!
全然嬉しくなんかないんだからねっ!
ばかーっ!!
PV150,000&ユニーク15,000突破しました。
皆様、ありがとうございます。
これからも頑張りますのでよろしくお願いします。