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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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説教を受けて小さくなってしまったアセナに完全に心が折れてしまった英雄を慰める英雄、我関せずで雑談を始めるその他。


そんな状態の部屋にまたもや訪問者がやってきた。


「姫を捕らえろっ!」


そう言って部屋に突撃してきたのは一人ではなく団体さん。

ずいぶんと獣人族の方が多く見受けられる。


様々なケモミミのオンパレードやぁ。


流石に部屋いっぱいどころか溢れんばかりの人数にただ事ではないと悟る。


「おい!アグリーナ姫を差し出せ!」


リーダーらしき狼だか犬の獣人の人がわたしたちに詰め寄ってくる。


ありゃ。これはなにやら面倒事の予感。


しかもわたしたちってば、お姫様サイドの人間だと勘違いされているご様子。


信じてもらえないだろうとは思うが、一応帝国の人間ではないと弁明する。


「帝国のものではないのに何故ここにいる」


・・・そうですよね。そうなりますよね。


でも素直に城の一部をぶっ壊して侵入したものですなんて口が裂けても言えない。

ましてあなたの目の前にある石像がお姫様ですよなんて信じてもらえないだろう。


黙りこんでしまったわたしを時間稼ぎかなんかと勘違いしたのか


「庇いだてするなら容赦はせんぞ!どけっ!」


と大声で威嚇し、わたしを突き飛ばして部屋の奥へと向かっていく。


突き飛ばされはわたしは運悪く石像にぶつかった。


もう、いきなり突き飛ばすとかなんなのさ。


流石にわたしのタックルぐらいでは石像は倒れることはなかったのだが、ちょっとばかり当たり方がよくなかったようでわたしの額から赤いものが出てしまった。


顔まわりは赤いやつが出やすくてまいっちんぐ。


すぐに『ヒール』で治したのでわたし的には特に問題なかったのだが、一連の様子を見ていたシルバくん、ガルくん、アセナさんが黙ってなかった。


シルバくんが突き飛ばしたリーダーを一瞬で床に押し倒すと、しぼんでいたアセナさんはまたもや大きくなりガルくんとともに周りを牽制する。


「お前、今自分が何をしたかわかっているのか」


普段のシルバくんからは想像できないような冷たい声が響く。


こわっ!しかも瞳孔開いてないか?


いやぁ、愛が重いね!

でも、その沸点の低さはどうかと思うよ。


ピリピリした状況の中、わたしがシルバくんの肩に手を置くと、熱くなってしまったと自覚したのだろう。


「申し訳ありません。出すぎた真似をいたしました」


と言ってシルバくんがリーダーを解放した。


いやいや、謝ることではないよ。

わたしを思っての行動だって分かってるから。


しかし、解放されたはずのリーダーがいっこうに起き上がらない。


おいおいおい。

コロコロしちゃったんじゃないだろうな。


慌てて近寄るとちゃんと生きていた。

脂汗をかいて声が出ないほどに悶絶していたけど。


シルバくん。君はいったい何をしたんだね。

わたしはリーダーに『ヒール』をかける。


すぐに治ったようで、リーダーが驚いた顔でわたしを見つめる。


あらやだ、そんなに見つめたら穴が開いちゃう。

もう痛いところはないかな?


わたしの問いかけにコクンと頷くと急に涙をこぼすリーダー。


え、なに!?わたし、なんかやらかした!?


アワアワしているわたしはさらに部屋が異様に静かなことに気付く。


恐る恐る背を向けていた団体さんの方を向くと、何故か皆さんが平伏していた。


えっ、ちょ、なになに?怖いっ!


パニック状態のわたしにさらなる追い討ちをかけるようにシルバくんが大声でとんでもないことを言い放った。








「ここにおられるのは聖母様である!」




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