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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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黒い塊に飲まれると同時にたわたしの中に色んな感情が雪崩れ込んでくる。


これは、リアルガチで心がパァーンってなるやつや。

わたしは胸を押さえながら倒れ込む。


いったいどれくらいの時間が経っただろうか。


ようやく感情の波が過ぎ去り固く閉ざしていた目を開くと、暗闇の中に頼りない今にも消えてしまいそうな光の玉がいくつも漂っていた。



その光の玉がなんなのかわたしはなんとなく分かった。



わたしはこの中で一番大きくて一番消え入りそうな光の玉にそっと触れ、


もういいよ、お疲れさま。よく頑張ったね。


と言って抱きしめた。



漂っていた光の玉が集まり人形に変化したと思ったら


"ごめんなさい、ありがとう"


と言ってはじけた。


そして、今度はまばゆい光がわたしを包んだ。


目が、目がぁ!!

あまりの眩しさに手で両目を覆った瞬間だった。




バチーンっ!


頬が、頬がぁ!!


頬に身に覚えのある痛みが襲う。


目を開けば案の定シルバさんがいた。


「扉を開けたと思ったら、目がと突然騒ぎだされたので、つい」


・・・ついとな。

うん、もうなにも言うまいて。


っていうか、全然時間が進んでなくない?

どうやらあの光の玉のくだりは精神と○の部屋的な感じだったようだ。


ん?


手に違和感を感じて見てみれば、右手の小指に小さな白い石がついた指輪がはめられていた。


思い浮かぶのは光の玉で、手に取って見ようと指輪に手をかけるが…


あれ?外れないんですけどっ!


え、ちょ、なんで!?

必死に外そうと頑張るが指輪はびくともしない。


「何をなさってるんですか」


いや、見ればわかるでしょ。

指輪が外れないの。


「無理矢理はめたからではないのですか?」


お?そりゃ指が太いから抜けないってことか?

このやろう。


わたしはシルバくんに指輪を見せつける。


指輪はどう見てもジャストフィットしているだけで外れなさそうな雰囲気は皆無やろがい!


「外れないのなら何かまじないが施されているのでしょう。ユウリ様のことですから紛失防止あたりでしょうか?」


色々反論はあるが、指輪について突っ込まれても困るのでそんなまじないもあるんだぁ、と流す。


「しかし、いつの間にそのようなものをお付けになられたのですか」


ヤバい、全然流せなかった。

光の玉のことなんか話せるわけないじゃん。


どうやって誤魔化そうかと考えていると緑木さんが慌てたようすでわたしとシルバくんの間に割り込んできた。


おお!ナイスタイミング!


「あのっ!お姫様がものすごい形相でこちらに向かってきてますけど!」


わたしは緑木さんが指差す方に目を向ける。


わぁ、夢に出てきそう。


確かにものすごい形相で短刀を握りしめたお姫様がこちらに向かって突進してきていた。


あらあら、そんなもの持って人に向かってきたら危ないでしょうが。



そう言ってわたしはお姫様を床に叩きつけた。



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