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根拠はちゃんとあるんだよ。ホントだよ!
ほら、あれよ、あれ。
緑木さんが持ってた水晶。
英雄さんたちや聖女様方にはさっぱりぽんだったが、その他の皆は思い出してくれたようで、顔を青くしていた。
今までのことからあれって多分神様にも何かしら影響を与えられるじゃないかと思う。
実際にゆみちゃんも呪われてるっ言ってたし、信じられないとは思うけど神様をある程度どうこうできるのは実証されちゃってる訳じゃない?
でもゆみちゃんはわたしが呪いの一部を破壊したから力を取り戻したってことも言ってけど、そんなことしたかなとわたしなりに考えて、思い当たることが一つだけあったのよ。
結構前に夢で緑木さんの時と同じように水晶から黒い煙が出て来て払ったことがあったのよ。
わたし的にはそれが原因だと思ってる。
「夢で見た出来事が本当に起こっているということですか」
そういうこと。あ、もちろん、ゆみちゃんの話以外にも夢で見た聖女様の傷が実際に治ってたり、夢と同じように黒い煙を払えたことで、夢が現実と繋がってるって思ったわけで、これに関しては決して勘とかじゃないよ。
あ、疑ってるな。
それなら、ここで証明してやろう。
前にも言ったけど、英雄さんたちがカーザにいることも分かったのも夢で見たからなんだけど、ねぇねぇ。英雄さんたちよ、カーザで川の開けた場所で休憩したときにいきなり傷が治ったりしなかった?
「確かに治った」
「そうそう!いきなり傷が消えたことあった!」
「でも、あの時周りを探したけど誰もいなかったんだよね」
覚えてくれたか。
その時わたしが『ヒール』使ったの。
ね?これで信じて…
えっと、とりあえず人を拝むの止めてくれるかな?
しかし、誰一人拝むのを止めるものはいなかった。
おうおう。シカトですか。このやろう。
じゃ、わたしもシカトして話続けてやるもんね。
そうなると、元凶の黒い煙なり水晶なりをどうにかすればケビンとも連絡がとれるようになると考えてるんだけど、じゃあその水晶が何処にあるかってことで、わたしとしては帝国しか考えられないわけ。
だから敵陣である帝国に乗り込んで暴れた方が早いかなって思うんだけど、どうかね?
わたしの暴れる発言に皆の拝みが違うものになったような気がするのは気のせいかな?
それ、合掌だよね?
そして、ある程度合掌が済むと皆が慌ただしく動き出す。
「教国は帝国が近々滅びる方向で動きます」
「賢明な判断だと思います。こちらはブラックシャドウに依頼して各国にも知らせるようにします」
「お願い致します」
「お任せください。事前に分かっていれば色々と対応出来ることもありますから」
えっと、ごめん。
なんで滅びる前提で話が進んでるのか全然理解出来ないんだけど…
「「「え?暴れるって滅ぼすってことじゃないんですか?」」」
英雄さんたち以外が口を揃えて聞いてくる。
いやいや、そんなことできるわけないじゃん。
人をなんだと思ってるんだ君たちは。
皆は顔を見合せるとわたしに言い放つ。
「「「なにって聖母様ですよね?」」」
わたしは人生最大の墓穴を掘って、撃沈した。
いやいや、まてまて!
仮に聖母だとしても滅ぼすって発想になるのはおかしくない?
「「「そこは、ユウリ様なんで。」」」
・・・・・
うん、それもこれも全部帝国が悪いんだ!
こうなりゃ、やけくそじゃ!
皆さんの期待にお応えして、滅ぼしてやんよ!
待ってろ、帝国!
これが帝国の滅亡が決まった瞬間だった。