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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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部屋の隅でしくしくと泣いていて使い物にならないアセナさんは無視して、部屋に残っていた聖女様方に話を聞くことにする。


ジャンヌちゃんはおねむなようで現在わたしに抱きつく形で寝ている。

これはもう聖女じゃなくて天使だな。


「ゴホン」


わたしのだらしない顔にシルバくんから咳払いがとぶ。


はっ!いかん、いかん。

まずは、事前に連絡もせず申し訳ありませんでしたと聖女様方に謝罪する。


「お気になさらないでください。暗部からおおよその話は聞いてますから。」


あれ、暗部は解体しなかったんですね。


「はい。まだ帝国の残党も残っていますので裏で動いてもらう者がいないと中々対応出来ないこともあるので。」


わたしの問いに聖女様方が交互に答えてくれる。


まだ残党がいるのか。

大変なときにこんな騒ぎを起こして本当に申し訳ない。


「とんでもない!今回の騒動のお陰で残党をあぶり出すことが出来てこちらとしては感謝しているんです。」


"わらわのお陰でなっ!"


お黙り、毛玉!

例えそうだとしても鬼ばばが帳消しにはならんからな。


"なんじゃ、なんじゃ。わらわだって頑張ったのに…"


あの隅っこでいじけている毛玉が教国内にいた残党のあぶり出しに一役かったわけですね。


「はい。お陰でかなりの人数を捕縛することが出来ました。」


後でその捕まえた人たちを見ることはできますかね?


「ご希望であれば可能ですが、何か気になることでも?」


まぁ、どんな人物か今後の参考になればと。


「「流石ユウリ様!大変思慮深くていらっしゃる」」


うん。そんなキラキラした目で見られたら、今さらただの興味本位とは口がさけても言えないぞ。


その後、近況などを話して解散することになった。


わたしに抱きついたままのジャンヌちゃんは、聖女様方が甘やかしすぎも困ると言ってひっぺがして連れていってしまった。


ちぇっ、そのままでもよかったのにな…


わたしはそのままふて寝しようとしたが、その眠りを阻止するものがいた。



アセナさんだ。


今回いかに自分が活躍したかを勝手に語りだした。


しかもちょっとでも適当な返事をすれば


"ちゃんと聞いておるのかっ!?"


とお叱りを受けるというめんどくいオプション付きで。


まぁ、お姫を中心にカーザが復興し始めた状況や、温泉宿と闘技場の建設に向けて本格的に動き出したことを知ることができたからいっか。


それにゼロスさんからの手紙も預かってきてくれたので、後でゆっくり読むことにする。


追っ手を返り討ちにした話は明らかに盛ってるのがバレバレだが一通り話し終わったアセナさんは誉めてつかわすといわんばかりだった。


まぁ、確かに鬼ばばの件を除けばアセナさんは本当によく頑張ってくれた。


ありがとう。お疲れさまでした。


"ふん!わらわを誰だと思っておる。創造神様が眷属、アセナであるぞ!"


ボッコボコのボッロボロの状態でなければさぞカッコ良かっただろう。


とりあえず、満足したかな?


じゃ、おやすみ。


そう言ってわたしたちはさっさと寝る準備に取りかかる。


"ちょ、お主ら、わらわの話はまだ終わってな…"


黙れ、毛玉!

こっちは長話に付き合ってとっくに眠さの限界は突破してんだよ。

いい加減寝かせろや!


"あ、はい。すみません。おやすみなさいませ。"





翌朝、一晩中メソメソしていたアセナさんにキノコが生えてたとか生えてなかったとか…


うん。どうでもいいな。



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