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飛び出したわたしは教会でケビンを呼び出した。
ケビン!ケビーン!
"はいはい。ケビンです。ってあれ、ユウリさん?約束は明日のはずでは?"
ちょっと色々あってお願いしたいことが出来たから来ちゃった。
"来ちゃった。ってその色々っていうのが怖いんですが。"
まぁまぁ、とりあえずこっちで分かったことを共有するから。
話はそれからね。
わたしは、英雄の一人が呪いだからなんだかで乗り込んできたこと、他の英雄たちがカーザにたどり着いていることを伝える。
"なんでそんな事に…こちらも英雄たちがカーザに入ったことは掴んでます。しかし僕としては人形の水晶の方が重要だと思うんですけど。"
確かにそれも重要ではあるんだけど…
"今はカーザにいる英雄たちの保護が最優先。ということですね。"
そういうこと。
で、そこでわたしから提案。
カーザにいるわたしの知ってる人に神託をして欲しい。
"それはまた…思いきったこと考えましたね。"
わたしもそう思う。
でも、今からカーザに向かってたんでじゃ色々と手遅れになるかもしれないからね。
我ながらよくぞ閃いたって感じよ。
"確かに。その発想はなかなかできないですよ。ちょっと待ってもらえますか。
あー、旅の!至急調べて欲しいことが…"
ケビンの声が遠ざかると同時にわたしの意識も遠ざかりかける。
おー、なんか知らんがあんまりもたないぞ。これは。
わたしは気力で踏ん張る。
"お待たせしてすみません。加護を持っているものが2人いるようなので、両方に神託を行います。"
ゼロスさんは知ってたけど、もう一人いるのか。ありがたい。
"神託の内容はあまり長いものは難しいのですが、どうしますか?"
なに、わたしが神託の内容決めていいの?
"もちろんですよ。ユウリさんの伝言を伝えるための神託ですからね。"
自分で考えといてなんだけど、普通だったらありえないよね。
"ありえないですよ。でもまぁ、そのありえないことをするのがユウリさんじゃないですか。"
なんか軽くディスられた気がしなくもないが…
それよりも神託の内容か。えーと、
3人組の英雄の保護をお願いします。ユウリより。
"えっ?そ、それだけでいいんですか?"
詳しく説明できほど長く神託できないでしょ?
"それはそうですけど…"
これで十分。
伝わると信じる。もう、これしかないでしょ。
で、これはいつできるの?
"今晩には必ず"
分かった。よろしくお願いします。
"ユウリさんにお願いされたらやるっきゃないですね!"
うん、お願いだからくれぐれも張り切りすぎないでね。
そのまま伝えてくれればいいから。
"任せてください!必ずや成功させてみせますから!"
・・・なんだろう。不安しか感じないんだが。
と、とりあえず一応また明日来るから。
"承知しました。ではまた明日お会いしましょう!"
ケビンとの会話が終了すると同時に立っていられなくなったわたしはその場に倒れ込んだ。
そして襲いかかる睡魔に勝てず、まぶたが閉じていく。
おのれ、わたしのまぶたよ。
まだやらなきゃいけないことがあるのに気張らんかい…
しかし抵抗むなしくまぶたはドッキングされ、わたしは眠りについたのだった。