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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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・・・いや、重っ!


わたしは想像してたより100倍最低な告白にドン引きしていた。


「でも、私達が暴発させた訳じゃないの!グループの組立師がやったことよ!」

「それについては後悔してるし、だから一生懸命共和国の為に色々やってきたんだ!」


どうやら思いっきり顔に出てしまっていたようで、親御さんたちは必死に言い訳をしだした。


その様子に他の皆も実の子であるロミジュリやさっきまで暴れていたそっくりさんたちでさえもドン引きである。


でも、その話じゃロミジュリへの当たりが強い理由の説明になってませんよ。


「っ、それは、その…」

「弟妹を思い出すと言いますか…」


ゴニョゴニョ、ゴニョゴニョ。


はぁ?じゃ、なにか。

自分達とそっくりさんたちを重ねて可哀想だと甘やかして、弟妹とロミジュリを重ね合わせて昔出来なかった分も冷遇してたってことかな?


「「・・・」」


俯いたままなにも言わない親御さんたち。

もしかしなくても図星か…


バッカじゃないの!

そんなん全然後悔も反省もしてないやんけ!


親なら平等に愛情注いで、ましてや自分達と同じ過ちをしようとしてるそっくりさんたちを何がなんでも止めなきゃダメだろがっ!


「それは、そうかもしれないが…」

「あの辛さは本人にしか分からないし…」


それでもなお言い訳をしてくる親御さんたちにわたしは色々諦めた。


この人たちは子どもがそのまま大きくなっただけで、自分のしたことが本当に悪いことなのだと分かりたくないし、認めたくないのだ。

そしてそれは、これから先も変わることはないと思った。


それならばだ。

おい、そっくりさんたち。


「「っ、は、はい!」」


わたしの呼び掛けにビビりながらも返事するそっくりさんたちに問う。


ユーたちトップになりたいんだったよね?


「「えっ、あ、はい…」」


何を聞かれたのか一瞬良くわからなかったのか、少し間があってから頼りない答えが返ってきた。


なに言ってるのか全然きこえないな。

ユーたちトップになりたいんだよね?


「「は、はい。」」


そっくりさんたちは戸惑いながらも、先程よりもましな声で答える。


そんな返事じゃ、全然パッションが感じられないよ。

ユーたちトップになりたいんだよねっ!?

さらに、大きな声で問う。


「「はい!」」


わたしの質問に対してそっくりさんたちが、前よりも大きな声で返事をするということを繰り返すこと数回。


質問しながら近づいていけば、ゼーゼーしているそっくりさんたちにの目の前まできた。


そしてわたしは、2人の目を見ながらそれまでとは違う質問をした。




それは、身内をコロコロしてでも?




「「っ!」」


条件反射で返事をしようとしたそっくりさんたちは口は開いたが目をそらし、答えは無言だった。


きっとちょっと前なら迷わず"はい"と答えていただろう。

しかし、自分たちがしようとしたことの末路を目の当たりにした今、その答えを言う気にはなれなかったが、"いいえ"と答えることも出来なかった。


何故ならそれは今までの自分たちのすべてを否定することで、すぐには気持ちの整理がつけられないようだ。


「なにも答えられないなんて…」

「僕達はいつの間にこんなに嫌な奴になったんだろう…」


2人は親御さんたちとは違い自分たちの過ちと正面から向き合おうとしていた。


「今からでも間に合いますか?」

「胸を張って"いいえ"と答えるられるようになるのは。」



ふん。いい目をするようになったじゃないか。

でも、それが出来るかどうかは君達次第だよ。



ねえ、ロミジュリもそう思うでしょ?


「私達は姉さん達が望むなら…」

「いくらでも支える覚悟はありますよ。」


急に振られたロミジュリは驚いていたけど、そう言って転がっていたそっくりさんたちを起こしてあげた。


いい返事じゃねぇの。

そんな君たちにわたしの尊敬する人の言葉を。




『人という字は互いに支え合って人となる』




誰かが苦しんだり、悲しんでいたら支えてあげられる人になってください。

嬉しいこと、楽しいことがあったら分けてあげられる人になってください。

貰うだけの人にならないでください。

たとえ少しでも与えられる人になってください。



今の君たちにはそれがきっとできるはずだから。



わたしは髪を耳にかけながら、ロミジュリとそっくりさんたちをまとめて抱き締めた。




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