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英雄たちが帝国から離反した。
あまりの衝撃に言葉を失うが、良く考えてみれば教国で英雄さんが解放して欲しいとか言っていたことを思い出す。
結局、自分達で決行したわけか。
詳細が不明なのでなんとも言えないが、十中八九追っ手がかかっているだろう。
いったいどこに行くつもりなのか。
マダムに急ぎ英雄の動向について最優先で調べてもらうようにお願いする。
「承知いたしました。セバス。すぐに使いを出して。」
「畏まりました。」
とりあえずまずは情報が必要だ。
新しい情報があるなしに関わらず3日後にまた来ることにした。
わたしに出来ることなんてたかが知れてるだろうけど、流石に知らんぷりは出来ない。
わたしに出来ることがあればいいけど…
あの時、英雄さんにもう少し話を聞いておけばよかった…
そして報告はこれだけではなかった。
どうやら今回、そっくりさんたちは本気でこの国のトップになるために自ら色々主導して行ったことがわかった。
もちろん、そのバックには帝国がいた。
どうやらそっくりさんと帝国は直接繋がっていたようだ。
それなのに親御さんたちはこんなことになってもまだそっくりさんたちを改心させることができると信じているようでなんとか内々で処理しようとしているとのこと。
親として子どもを信じるその気持ちは分からんでもないが、なぜこんなにも同じ子どもであるはずのロミジュリをないがしろにするのか理解できない。
これはやっぱり直接問いただすしかないかな。
マダムの報告はこれで一通り終わったので、もう一度色々と謝罪する。
色々と申し訳ございませんでした。
「いえ!こちらこそ、色々とご迷惑をお掛けしてしまって申し訳ありませんでした。次はもう少しゆっくりお話いたしましょう。」
アハハ、ソウデスネ。
こうしてわたし達はお屋敷を後にした。
このままニイナさんのお店に戻りたいところだが、教会に寄ることにした。
ゆみちゃんのことやら英雄たちのことをケビンに問い詰めるために。
もう、同時にいろんな事が起こりすぎてパニックになるわ!
わたしは教会に突撃すると、すぐにケビンを呼び出した。
おいこら、ケビン。出てこいや!
"はいはい。そんなに脅さなくてもちゃんと出ますよ。今回はどうしましたか?"
・・・前はコソコソしとったやないか。
それに、どうしましたかじゃないわ!
"あ、あの時は所用で出れなかっただけで、別にコソコソは…"
色々言いたいことはあるだけど、本当に今それどころじゃないのよ。
英雄たちが帝国から離反した。
"うえっ、離反!?ちょっと待ってください。その話詳しく聞かせてください!"
いや、こっちが聞きたいから来たのに知らんのかいな。
だーもー!ケビン!
こっちでも色々調べて3日後にまた来るから、そっちでもできる限りでいいから状況確認しておいて。
"す、すぐに確認します!あ、山の!緊急事態発生だ。すぐに会議を…"
ケビンとの会話を早々に切り上げて、わたしは出来る限りの打てる手を打つべく、マダムの屋敷に戻ることにした。
ケビンが把握してないとなると、かなりヤバイ気がするんですけど。
ここまでくると呪われてるのはゆみちゃんじゃなくて、わたしじゃないかと本気で思ってしまった。