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ハンサちゃんとキャッキャ、ウフフしていているとようやく皆がお戻りになったようで…
「ユウリ様!魔術の神とはどういうことですか!?」
「呪いって?」
「あの、最高神ってなんでしょう?」
「あれが魔王なんすか?」
一斉に質問攻めにされた。
何度か言ってるけどね、聖徳太子じゃないからいっぺんに話しかけられても分からんのですよ。
「ユウリ様。今さらですが、その時々おっしゃる聖徳太子とは何でしょうか?」
わお…ジェネレーションギャップならぬワールドギャップ。
これにより何故か聖徳太子とはなんぞやを説明するはめになった。
「なるほど。馬小屋で生まれて国の基礎を造った方ですか。確かにそような方とユウリ様は違いますね。」
ん?わたしもそんなに詳しいわけではないのでかなりざっくりした説明だったけど、なーんか腑に落ちない感じがするのはなんだろう?気のせいかな?
話が逸れたがそもそもわたしにも分からないことが多くて、皆の質問には答えられないのですよ。
ゆみちゃんとの会話を全部聞いてたんだから、逆にわたしがいかにテンパってたか察してくれてもいいんでないかい?と言えばみんなは何にも言わなくなってしまった。
で、結局。
解決できないことはやっぱり一度ペイっとするとこになった。
切り替えは大事やで。
しかし、今度は皆の視線がわたしの肩に集中する。
"ゆうりさま、みんなみてる…"
こらっ!そんなにガン見しないで!
ハンサちゃんが怯えてるでしょうが!
「「「「ごめんなさい」」」」
プルプル震えるハンサちゃんを見たみんなは罪悪感を感じたのか謝っていた。
ハンサちゃんがある意味最強の称号を手に入れた瞬間だった。
その後ハンサちゃんとの絆を深めるという名目でみんなで愛でていると、マダムが数人の使用人を伴って戻ってきた。
「ユウリ様、お見苦しいところをお見せしてしまって、申し訳ございませんでした。あら?部屋が…」
マダムも使用人の人達も破壊されたはずの部屋が元通りになっていることに驚いていたので、簡単に経緯を説明する。
「なるほど、魔法で。それは凄いですわね。それで、ゆみちゃん様とはどなたのことでしょうか?」
マダムはゆみちゃんが誰なのか分からなかったようだ。
マダムの横に座っていた女性ですよ。
「え?」
え?
「っ!イヤーーッ!」
バタン
どうやらわたしたち以外はゆみちゃんが居たことを認識しておらず、マダムは幽霊かなにかと思ったようでまた倒れてしまい、使用人の人達によってまたどこかへ運ばれていってしまった。
・・・ゆみちゃん、君は何をしたんだ。
魔法か?魔法なのか?
その後、戻って来たマダムにはゆみちゃんのことを適当にごまかして、ようやく本来の目的に戻ることになった。
定期報告ではカーザの温泉宿と闘技場の進捗状況と、今回は聖女様方からの手紙を渡された。
今すぐ読みたいところだけど、戻ってからゆっくり読むことになってしまった。
なぜなら、お手紙にほっこりしていたわたしに次の報告でとんでもない爆弾がおとされてそれどころではなくなったからだ。
その内容は…
英雄たちが帝国から離反したというものだった。