117
いよいよ出発だ。
今日は昨日のような食べ過ぎるなんていう失態は流石におかさなかった。
到着予定は夕方頃になるそうなので、着いたら直ぐに宿探ししなきゃいないなぁ。
「あの、宿じゃなくてもわたしたちの家に滞在いただいてもいいのですが。」
「いい提案だね、ロミーナ。」
ありがたいと言いたいところだが
断るっ!
君たちのご家族は申し訳ないが少々信用ならんので。
「そ、そうですか。」
「仕方ないさ。」
ちょっとガッカリしているロミジュリには本当に申し訳ないが、気持ちだけいただきます。すんません。
でも、町に着いたらロミジュリたちは実家に戻ってもらっても問題なから。
「「えっ?!あの、そうですね…」」
なにやら歯切れの悪い返事に着いてから決めたっていいと言っておく。
今すぐじゃなきゃいけない理由なんかないしね。
何事もなく進み日が傾きかけ始めた頃ついに首都に到着した。
そして現在。
わたしたちは首都の入り口でこの国のトップである親御さんちとたくさんのギャラリーに囲まれ身動きがとれなくなってます。
えっと、なんでこうなったかちょっとだけ時間を巻き戻してみましょう。
遡ること、首都に着いた直後。
突然馬車が止まった。
まぁ、国の中心地となれば止められることもあるので特に気にしていなかったが、御者をしていたレオくんが荷台でアセナをモフモフしていたわたしを呼び出した。
「ユウリ様、申し訳ありません。少しこちらに来てもらえますか?」
なんとなくイヤな予感がプンプンしたけどレオくんからのお願いなら仕方ない。
嫌々ながら荷台を降りれば、馬車の前には2人の男女と馬に乗った方々が数人が道を塞いでいた。
最近同じようなことがあったような気がするなぁ。
うん。見なかったことにしよう!
わたしがそそくさと荷台に戻ろうとしたところ、こっそり覗いていたのであろうロミジュリがまたもや勝手に飛び出していってしまった。
おい、何度同じことすりゃ気がすむんだよ。勘弁してくれよ。
呆れて立ち尽くしていると、ロミジュリと共に男女2人がわたしの方にやってくる。
なんとなく予想はついてるけど、念のためどちら様ですかと聞いてみる。
「「この度は申し訳ありませんでした。」」
2人はいきなり謝罪の言葉を述べた。
は?いきなりなに?
しかもわたしはどなたかと聞いたのに質問の答えになっていないし。
わたしはイラッとして今すぐにでもこの場から立ち去りたかったが、このまま無視して立ち去る訳にもいかないので、仕方なくもう一度どちら様ですかと聞く。
「ロザーラの父です。」
「ボルティアンの母です。」
ロザ?ボル?ん?誰?
「ロザーラとボルティアンは僕達の兄姉の名です。」
「目の前にいる2人が職人派代表の私の父と、魔法派代表のジュリアンのお母様になります。」
わたしの問いようやく答えてくれたと思ったら聞いたことのない名前を突然言うから分からなかった。
まぁ、予想通りロミジュリの親御さんでこの国のトップである魔法派と職人派の代表者だったわけですね。
流石、国のトップ。
知らない間に人がすごい勢いで集まってきてとても逃げ出せる状況ではなくなってしまった。
わたしとしては今すぐにでもこの場から立ち去りたかったので、親御さんたちの元に寄ると、2人しか聞こえない声で丁重にお願いする。
謝罪はこの状況なんとかしてからにしてもらえますか?ニコッ
「「え、あ、はい。よろこんで!」」
にっこり笑ってお願いすれば直ぐに行動してくれた。
親御さん達がガクブルしながら必死に町の人たちに話しかけている間にアワアワしているロミジュリに断って、わたしたちは宿屋を確保するべくこの場を離れた。
なんかある意味似たもの親子だなぁと思いながら街を進み、無事宿をゲットしました。
なんだか今日は疲れたので、親御さんたちへの挨拶とかは明日頑張ります。