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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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あっという間に朝が来た。


初日にお話ししてからロミジュリの態度は変わっていたけど、今日はさらに変化していた。


なんか知らんが、わたしの扱いがおかしい。

どうおかしいかというと、すごく敬われてる感じがする。

昨日までは色んな意味でビビってたので敬語とか使ってたけどそういことじゃないレベルでなにかが違う。


どういうこと?

態度の急変について考察していると、ロミジュリの後ろでみんながこちらをガン見しているのを発見。


・・・。

その様子にわたしは一つの答えを導きだした。


あいつらロミジュリにわたしが聖母だって吹き込んだじゃなかろうか。

しかも、絶対に話を盛大に盛ったに違いない。と。


わたしはロミジュリにちょっとここで待つように言うと、校舎裏ならぬ木の裏にみんなを呼び出した。


おい君たち、ロミジュリに何を話したか素直に白状しようか。


「白状もなにも、今までの出来事をお話ししたまでです。では、まずはわたしとフェルとの出逢いから。」


わたしが本気でご立腹なことは伝わっているようで、素直に話してくれた。

だけど、みんなのわたしの聖母っぽいエピソードはかなり美化されていた。


え、ちょっと待って。それわたしの話だよね?


どいつもこいつも誰だそれはと言いたくなるような話のオンパレードにわたしの心は折れた。


とどまることのない話に、これは止めない限り永遠と語るのではないかという恐怖を感じたわたしの精一杯の抵抗は、"勝手に話さないでね"だった。


うん、分かってる。

本当はもっとガツンと言わなきゃいけないことはわたしが一番分かってるよ。


でも、今のわたしにはこれが限界やねん。

だってみんなキラキラした目でイキイキ話してるんだもん。


怒れるわけないじゃん。

フェルくんに至ってはそんなにたくさんしゃべれるんだって驚いたからね。


朝っぱらから大切な何かをごっそり持っていかれた分を補うべく、朝ごはんをたらふく食べた。



結果。

もうそろそろ昼になろうというのに今だにわたし達は出発出来ずにいた。


原因はわたしです。全く動けないのに今馬車になんか乗ったらアウトっす。


「「「「・・・」」」」


横になったまま動かないわたしにみんなからの視線が心なしか冷たい気がする。

ロミジュリに至っては完全に疑惑の目を向けている。


ほら、あの目を見てごらんよ。

疑惑100%じゃん。

だから聖母だとかホイホイ言うもんじゃないんだよ。


本当にヤバいので今日の移動は断念してもう一晩ここで過ごすことになってしまった。


食べすぎて動けないとか本当に情けない。


時間に余裕ができたので昨日の話をまとめて今後について会議することにした。


昨日の質問タイムで判明したことは、


①ロミジュリは実は影武者で、そっくりさんたちが本物の跡継ぎ。


②今回の駆け落ちは親御さん主導で行われていて、危険はないと言われていた。


③ぶっちゃけ、魔法派と職人派はケンカしてない。


④ぺっぽこ詐欺師を唆した黒幕と20年前の事故の詳細は知らない。


⑤ロミジュリは本当に愛し合ってて、途中から本気で駆け落ちしてもいいなぁと思ってた。


以上。

うん、最後のは別に要らないな。


ある意味カーザと同じってことなのかな?

何やら裏でコソコソしてるヤツをあぶり出すのに駈け落ちなんていう騒動をおこしたそうだ。


しかしあぶり出せたかどうかはロミジュリには分からないし、そっくりさん達は急にやって来るし、これからどうしたらいいか分からないと。


まぁ、このまま予定通り代表の方々の所まで行こう。

確か首都ににゼロスさんのお子さんもいるし、寄るのは決定事項だからね。


あとさ。


そっくりさんたちとは一度ちゃんとお話ししないといけないなぁって思ったんだよね。


・・・


おや、皆さんお揃いで何そんなに顔が真っ青なのかな。


「ユウリ様、目が笑っておられませんよ。」


うん、でしょうね。

わたしこれでも昨日の件、激おこなのよ。

それにこんなこと計画したっていう親御さん達にも思うところがなくもないわけ。


どんな話が聞けるか今から楽しみで仕方ないよ。

あははは。






聖母様を本気で怒らせてはいけないと。

その場にいたものは恐怖を感じるのだった…



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