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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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たどり着いたのは一件の家だった。


ノックをすると出てきたのは、全身黒服の男性。


「なんのようだ。」


いや、これ怪しすぎるだろ。

大体なんのようだっておかしくない?


「ユウリ様、今回ばかりはご勘弁を。」


色々とツッコミたいところだがシルバくんに止められたので仕方なく口をつぐむ。

誰が来てもこうなのかスゲー気になるんですけど。


気になることは山のようにあるがここは気持ちを切り替えて連絡事項の確認をするが、特に緊急の連絡はないそうなので定期報告を聞いて早速本題に入らせてもらう。


内容としてはロミジュリのお金のぼったくりを唆した人物についてだ。


いったい何処の誰なのか、そして目的はなんなのか詳細を調べてもらえるようお願いする。


「任せな。すぐに調べるようにしよう。」


うん。不安しかないな!

ブラックシャドウへの依頼でこんなに不安になったことないわ。


ボソッ「調べるのは別のものですから。」


いや、分かってはいるけどね。

不安がつきまといながらも、この国のについても聞いてみたらキナ臭い話が出てきましたよ。


「元々生活をより良くするために魔道具を研究し制作してきた共和国だがおよそ20年前。

今の代表に代替わりする前になにやら武器の開発をしてたとかしてなかったとか。」


おう、んで?


「しかしここまでの話だが、大事故が起きて犠牲者も出たことでその武器の開発は中止となり、この事故の責任の所在を巡って魔法派と職人派に分かれたとか。」


うん。ブラックシャドウにしては珍しく随分とまぁ曖昧ですやん。


なんでもこれについてはかなり皆さんの口が固いようで、ブラックシャドウですら全容は分かってないそうだ。


とりあえず事故についても可能な範囲で構わないので再度調べてもらうことにする。


次の町の訪ね場所を教えてもらい金貨一枚を渡して隠れ家を後にする。


本当ならこのまま宿に戻るところだが、町を探索しながら自分達でも少し情報収集することにした。


歩いていると、広場におばちゃんじゃなくておじいちゃんが集まってなにやら井戸端会議していた。


こんにちはー。


挨拶しながら、共和国のオススメを聞きたいとかなんとか言って輪に加わり色々とお話を伺う。


「オススメはなんかねぇな。」

「それより聞いてくれよ。きのう母ちゃんがよう…」

「その話は昨日も聞いたぞ。それより、うちの娘が…」

「その話こそ2日前に聞いたぞ、オレは最近腰がなぁ…」


こんな感じで日々の小さな不満だったり、あちこちにガタがきてると言う愚痴を聞かせてもらった。


ブラックシャドウは皆の口が固いと言っていたが、ダメ元で昔のことをおじいちゃんズに思いきって聞いてみた。



結果。



おじいちゃんズ普通に話してくれました。

秘密感ゼロでいっぱい教えてくれました。


色々話してくれたお礼にあちこち痛いとおっしゃるおじちゃんズにわたしは『ヒール』をかけてその場をあとにした。


宿に戻る途中で喫茶店を見かけたので入ることにした。

注文した飲み物が揃い一口飲んだ後に2人とも何も言わないのでわたしが口火を切った。


おじいちゃんたち物知りだったね。と。


シルバくんとフェルくんは無言でうなずくとまたもや沈黙がわたしたちを支配した。

その沈黙に耐えられずわたしは一つの仮説を2人に聞いてもらうことにする。


この町のブラックシャドウって常にあの格好で活動してたりしないよね。と。


2人は黙りを決め込んでいた。


いや、なんで無言やねん。

でも、なんか聞くなオーラが凄かったのでわたしは2人に聞くのは諦めた。


次の町のブラックシャドウに直接聞けばいっか!


結局その後誰も話すことなくわたしたちは宿に戻った。


「「オカエリナサイ」」

"ようやく帰ってきたか…"


宿に戻るとレオくんとガルくんとアセナが尋常じゃないくらいやつれていた。


わたしは部屋の隅をチラッと確認すると全てを悟り、すぐに宿屋の主人に部屋を追加で借りたいとお願いしにいった。


主人は何かを察してくれたようで、無言でサムズアップすると、同じ階だけど一番離れた部屋を案内してくださいましたよ。

ここのご主人なんかスゲーノリがいいな。


宿屋の主人に心のそこから感謝してロミジュリに移動をお願いする。


「え?移動ですか?」

「私達だけ別ですか?」


はい。あなたたちだけ別でお願いします。

一応無駄だとはわかっているがイチャイチャもほどほどに。と注意をして元の部屋に戻った。


「ユウリ様、ありがとうございます!」

「流石、姉御だせ!」

"今日は好きなだけモフモフしてもよいぞ!"


ロミジュリがいなくなった部屋に戻ったわたしはレオくんとガルくんから感謝の言葉とともに握手され、アセナに腹を見せられた。


お礼などよいのです。

むしろ留守をお願いしたわたしの方こそごめんなさいですよ。


我関せずといった様子のシルバくんとフェルくんに、次は2人にお留守番をお願いするねと言うと目が死んでいた。


でも、ご安心を。

これからは絶対に別の部屋を確保することをお約束しますんで。


久しぶりにイチャイチャ攻撃の心配なく過ごす時間はとても幸せでした。


あ、もちろん、追加の部屋代は流石にお支払いさせていただきました。




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