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遅くなって申し訳ありません。
ロミジュリは騒ぎもあって、この村を出発したかったようだが、すでに日が暮れてしまっているので、移動は明日からとなった。
夕飯を食べながらさらに話を聞かせてもらっのだが。
このロミジュリ、わたしより常識がなかった。
まず何処に向かうつもりで?
「わたしたちは隣国の教国に向かう予定だったけど。」
知り合いでもいるの?
「そんなものはいないが、代表の子どもたちである僕たちなら快く迎え入れられてくれるに決まってるだろう!」
・・・
英雄くんは突然力が与えられて勘違いしていたがこの2人の場合、生まれたときから周りにチヤホヤされずきて本気でそれが当たり前だと思ってるようで。
百歩譲って共和国内ならまだしも他ではそれ通用しないぞ。
こりゃ、依頼を受けたのは失敗だったかも。
「で、いつになったら夕飯の準備が出来るんだ?」
「ねぇ、喉が渇いたのだけど」
すでにわたしたちのことを召し使いのように接してきてるし。
上から目線であれこれ言ってきて、わたしだけじゃなくてみんなもイラッとしてるよね?
このままじゃいつみんなのストレスがドカーンって爆発することか…
こりゃ、なるべく早目に現実を教えてあげないとあきまへんな。
それで変化が見込めなければ、一度請け負ったことを翻すのはしたくないけど、場合によってはお断りも視野に入れておこう。
わたしこーゆーの苦手なんだよなぁ。
それもこれも貧乏なのがいけないんだ…グスン。
なんて1人であれこれ考えていたら早速夕飯にケチをつけてきやがった。
「こんなものを僕らに食べさせるつもりか?」
「果物はないの?」
・・・イヤなら食べなきゃいいんじゃないですか?
「僕は、いらない。」
「私もいいわ。」
要らないとロミジュリは言ったので速攻で夕飯を下げる。
そうですか。では、無理に食べなくて結構です。
「おい。早く代わりのものを出せ。」
「お腹が減ったんだけど。」
文句を言ってくるのをまるっと無視してみんなでご飯を食べる。
ロミジュリはご飯を下げられた上、無視されるとは思っていなかったようで呆然としていた。
ご飯を食べ終われば次は寝る準備だ。
小屋はお2人さんが使うだろうからこちらは野宿のときと同じく馬車で寝ますかね。
寝ようと思ったらロミジュリには学習能力がないようで、懲りずに文句というかワガママの嵐が到来。
「「「「・・・」」」」
おっと、そろそろヤバいかも。みんなの堪忍袋がチョッキンしちゃうかも。
やっぱり、分かりやすく言葉にしないとダメか。
わたしは荷台から出るとロミジュリの前で仁王立ちするが、これ幸いとやいのやいのと文句が止む様子がない。
作戦変更。
わたしは言葉か通じないと判断した。
あまりにもうるさいので腕に抱いていたアセナさんをそっと下ろす。
"よいのか?"
うん。その代わり、手加減してあげてね。
下ろされたアセナは元のビックサイズに戻ると可愛くガウと一吠えした。
すると、どうしたことでしょう。
今までで文句を言っていた2人の顔が一瞬で真っ青になってしまった。
わたしの要望に応えていつもの何倍も優しく吠えても一般の方には刺激が強かったようで、静かになった。
わたしはロミジュリにとっても優しく説明をしてあげる。
わたしたちは用心棒として雇われたんであって、あなたたちの召し使いでもないんでもないのです。
次に生意気なこと言うてみぃ。
アセナのエサにすんぞ、ワレェ!
バタン
あれ?ちょっとやり過ぎちゃったかな。
2人は仲良く白目を剥いて倒れてしまった。
そして背中と横から突き刺さる視線。
横はアセナからで、これ食べなきゃいけないのと絶望的な顔でこっちを見ている。
背中からの視線は怖くて見れない。
わたしはアセナに食べなくて大丈夫だと言って逃げるように荷台の中に入った。
自分では気づいてなかったようで、思ってたよりずっとイラッとしてたみたい。
いやぁ、こんな時は寝るに限るね!ってことで、おやすみなさーい。
翌朝目が覚めれば、荷台は空。
わたし以外全員起きていた。
この状況、約束と化してるな…
昨日気絶してしまったロミジュリはあのまま地面と仲良しのまま朝を迎えたのだろう。
動きがぎこちなくて顔に泥がついていた。
「「っ!」」
わたしが近づいていくとビビっていた。
物凄くビビっていて今にも泣きそうだ。
あー、ちょっとばかしやり過ぎちゃった。テヘ。
ごめんよと言いながら『クリーン』と『ヒール』をかければロミジュリは驚いていた。
ブン殴られるんじゃないか的な感じだったけど、わたしそんなことしないからね!
とりあえず、朝ごはん食べようぜ。
2人とも腹の虫が鳴くを通り越して泣いてるぜ。
わたしの腹もだけどね。
そしてみんなでご飯を食べればロミジュリは号泣していた。
なんか、デジャブ。
朝食を無事に食べ終わると、ロミジュリは勝手に語りだしたのだった。
また、このパターンかーい!