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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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今さらだけどこれからどうしようかね。


救出後のこと本当になんにも考えてなかったわ。


とりあえず、シイナさんのお店に戻るか?


「あの、せ、ユウリ様。」


エリーザさんなんですか?


「一つお願いを申し上げてもよろしいでしょうか。」


わたしに出来ることですかね?


「はい、せ、ユウリ様にしかお願いできないことでございます。」


わたしにしか出来ないお願いとな。


「はい。せ、ユウリ様に私達と共に教会にお越しいただきたいのです。」


毎回名前の前に"せ"っと言うのを無視して、わたしはエリーザさんのお願いを聞くと押し黙った。


ぶっちゃけ行きたくない。

だって、まだ残党はいそうだし、なにより聖母関連のことを触れられたくないし。


「あ、あの。せ、ユウリ様には本当にただ着いてきてもらうだけでかまいませんから」

「「お願いします!」」


ぐっ、聖女様方にまでお願いされちゃったら、ねぇ…

まぁ勝手に助けておいてそれで終わりという訳にはいかないよな。


みんなを連れていってもいいならと返答すればむしろ着いてきて欲しいと言うことでみんなで教会本部に向かうことになった。


ちなみに、聖女様とわたしたち陽動組は目立つので現在はフードのついたマントを被ってアセナは小さくなってます。


わたしに至っては服斬られてるからね。

誰も望まないポロリとか起きる可能性があるからね。


でも流石にこんな人目の多いところで着替えも出来るわけがないので仕方ない。とかどうでもいいことを考えながら、案内されるままついた教会本部はデカかった。


帝国のお城よりもデカかった。


キョロキョロしならがら教会内部を進むがどこもかしこもバタバタしていた。


そして案内されるがままにたどり着いたのは牢屋だった。


「ここに囚われている人たちの怪我を治して欲しいのです」


と言われたが、誰も怪我してないみたいですけど?


「「「えっ?!」」」


エリーザさんと聖女様方は驚いていた。


思い当たるのは、『エリアヒール』


しかし、わたしの本能が言ってはいけないと告げているので不思議ですねぇと言って誤魔化した。


一部から視線を感じるが無視!

いやぁ、怪我が治ってて良かった、良かった!


しかも牢屋の鍵はいつの間にかカルトが持ってきていたので問題なく開けることもできた。


牢屋から出てきたのはおじいちゃんやおばあちゃんが多く全部で20名弱。


なんと50年前の教皇の代替わりより前から教会にお勤めだそうで、教会を運営するためにずっと裏の仕事を強制的にやらされていたそうだ。


なるほど、本来の教会を知る生き証人というわけですね。


救出したおじいちゃん、おばあちゃんの中に本当だったら教皇を引き継ぐはずだった人がいた。


御歳70歳というこだが、めっちゃ元気だった。


そして、ここで衝撃の事実を知る。


エリーザさん実はハーフエルフでこちらは御歳100歳とのことで実は教会ではかなりの有力者だった。


エルフって、なんかずっちーな。


今後は古株のみなさんによって教会の浄化を進め、建て直しを図ることになるそうだ。


現状信頼は地の底に落ちてしまったが、腕がなるとイキイキする皆さんに聖女様方が助力を申し出た。


この様子なら教会の信頼もすぐに回復するだろう。


この人たちになら任せられると確信したわたしは女の子を教会のみなさんにお任せしたいと申し出た。


おじいちゃん、おばあちゃんたちはわたしたちが何者かが分からず困惑していいたが、その他のメンバーは驚いていた。


ま、自分でも随分可愛がってた自覚あるしね。


おじいちゃん、おばあちゃんはわたしたちが何者かは気にしないでください。


ただの通りすがりの旅のものです。


またもや視線を感じるが無視。

なによ、旅のものでしょうが。


わたしも出来ればずっと一緒に居たい。


でもね、女の子はケビンのせいで聖女(予定)から聖女(正式)になっちゃったんだもん。


今後のこと考えたら、教会の人たちにお願いしたほうがいいと思うでしょうよ。


みんなの視線が女の子に向かい、慌てて鑑定をすることとなった。


まぁ、わたし1人が言っても信じてもらえませんわな…


鑑定の結果。

女の子は聖女であると確認された。


一時代に3人もの聖女が現れたのは聖母様がいた時代のみだとか。


ヘー。そうなんだー。

みんな、こっちを見るんじゃないよ!


流石に何度も視線が注がれると年の功とやらか、おじいちゃん、おばあちゃんたちも含みのある視線を送ってくる。


そしてべっぴんの聖女様と目が合った瞬間。

わたしの中でくすぶっていた罪悪感が火を吹いてしまった。


真っ直ぐ向けられる視線にわたしは言わざるを得なかなった。


そうです。わたしが聖母(仮)です。


聖母を小声でいい(仮)の部分をものすごーく強調してわたしは白状した。


わたしの告白に盛り上がるみんなは、わたしが死んだ魚のような目でいることに気付かない。


ただ1人。女の子だけが気づいて今度は背中をナデナデしてくれた。


わたしはお返しに力一杯抱きしめ女の子に手紙を託すと、




教会から脱走した。





わたしはこれにてお暇させていただきます。

それでは皆様、ごきげんよう!




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