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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
100/210

100

100話です。


決戦の朝がやって来た。


いや、寝たのついさっきだから辛いぜ。

やっぱり大切な用事の前に夜中まで会議なんかするもんじゃないね。


眠さをこらえ早めの朝食をとりながら作戦の最終確認を行う。


「本当にこれしか方法がないのですか。」


ありません。

みなさん納得いかないところがあることは重々承知してますが、今さら新たな作戦を議論する時間がないことも分かっているでしょう。


「「「「・・・」」」」


しぶしぶ頷くみんなに苦笑してしまう。

大事に思ってくれるのは嬉しい。

でも、今回ばかりは譲れんのですよ。


気合いを入れるために声を張る。


各々方、覚悟はよろしいかな。

ではこれより、聖女救出作戦を開始する!


皆のもの出陣じゃあ!!








教皇と聖女をのせた豪華な馬車が兵士に守られ、誘導されながら首都の大通りを進む。


沿道には教皇と聖女を一目見ようとたくさんの市民が詰めかけていた。


教皇一行が首都の中心部にある創造神を象った像が設置された広場に差し掛かったとき、それは現れた。


広場の真ん中で一行の行く手を塞ぐようにたたずむのは、フードを目深に被った人物。


兵士の1人が退かそうと近寄るとその人物は突然語りだした。



ひとぉ~つ、人の世の生き血をすすり

ふたぁ~つ、不埒な悪行三昧

みぃ~っつ、醜い浮き世の鬼を

創造神様にかわっておしおきよっ!


バッ


台詞と共にフードの下から現れたのは・・・



はい、わたしです。ユウリです。



あまりの訳のわからん状況に、ポカンとする兵士や市民を気にする様子もなく馬車に向かう。


教皇さんよ、お前のことは、すべてお見通しだ。

大人しく出てこいやっ!


「始末しろ。」


教皇の一言で我にかえった兵士が捕まえようとするが、ヒラリとかわして全く捕まえられない。


フフフ、つかまえてごらんなさいな。


そんなゴテゴテして重そうな鎧なんか着てたら動きがニブニブで捕まえられませんことよ、オホホホ。


なかなか捕まえられないことに兵士は苛立ち、ついに剣を抜いた。


まだ。もう一押し。


大きなモーションで斬りかかってくる兵士の攻撃をあえて無抵抗で受ける。



ズバッ



肩から腰にかけて斜めに斬られ、勢いで後ろに倒れ込む。


「キャーッ!」


市民の中から悲鳴があがった。




・・・はい、ありがとうございます。




斬り倒されたはずのわたしが立ち上がる。


「ギャーッ!」


別の意味で悲鳴があがる。

立ち上がったわたしの服には確かに血がついていたが、傷は何処にもなかった。


秘技、斬られた瞬間速攻でヒールの術。


説明しよう。

この技は斬られた瞬間に意識がなくなるまたは死ぬ前にヒールをかけるという、ハイパー高度な技である。


一応一度斬られていることは確かなのでめっちゃ痛い。

死ぬほど痛いので良い子のみんなは絶対に真似しないようにね。


フフフ。先に手を出したのはそっちだからね。

こっからさきは正当防衛ということで。


さぁ、みなさん。

凝らしめてやりなさい。






わたしたちが夜中に立てた新たな作戦はこうだ。


教皇御一行と揉めて、わたし、シルバくん、フェルくん、レオくん、アセナで戦闘に持ち込む。



戦闘が激しくなれば、援軍がバンバン送り込まれて、教会本部が手薄になる。



その間にもう一人の聖女様の救出をカルトとエリーザさんとブラックシャドウという隠密三羽烏によって遂行する。



聖女様の救出が完了したところで、教皇の悪事を暴露する。


以上。


ちなみにミーナさんとガルくんは女の子と一緒にシイナさんのお店でお留守番だ。


というわけで、みんな援軍が呼ばれるように出来るだけ派手に暴れるぞ。


「「「はいっ!」」」

"任せるのじゃ!"


広場でわたしたちは暴れまくった。

特にアセナさんは大活躍だった。


教国の兵士を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返せばみるみるうちに数が減っていく。


戦闘不能にしたが、誰一人コロコロしてはいない。


・・・ハズ。


そして馬車まであと少しというところでついに教皇様が馬車からお出ましになられた。


手を鎖に繋がれた聖女様を無理矢理引き連れて。


そして、教皇は言う。


「おのれ魔族め、聖女を殺しにきたな。

教国で狼藉をはたらけば天罰を食らうことになるぞ。」


と。


ほう。そういう手で来ましたか。


教皇の言葉に訳のわからん連中だったわたしたちは一気に悪役となり、今まで傍観していた市民がヤジを飛ばしたり石を飛ばし始める。


ちょ、石ヤバいんですけど。


市民に攻撃するつもりは全くないのでこちらはやられ放題だ。


石は数が多過ぎて全てを捌くことが出来ない。

しかもなにやら石に紛れて結構ヤバそうな攻撃がくるのでそっちの回避を優先すると、どうしても被弾してしまう。


少しずつ形勢が悪くなってきた時だった。

わたしの目の前に小さな影が飛び出してきた。


その影の正体はシイナさんのお店で留守番をしているはずの女の子だった。


小さな両手を目一杯広げて立ち、わたしを必死に守ろうとしてくれていた。


しかし小さな勇者の登場に気づくものはおらず、石の雨が女の子を襲う。


咄嗟に庇ったがそれでも全てを防ぐことは出来ず、石は女の子の額に当たってしまい、赤いものが小さな顔をつたう。


「あっ、うっ。」


小さな手がわたしの頬に触れる。

怪我をしてもなお、わたしの心配をしてくれる女の子。





わたしは最終手段を発動した。




まさか100話まで続くとは自分でもビックリです。


これからも続く予定ですので、お付き合いいただければ幸いです!

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