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いつのまにやら聖母様  作者: 芍薬百合子ぼたん鍋
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まさか奴隷なんてもんを自分が買うなんて想像もしてなかった…


でも、恐怖から逃れるためにわたしは奴隷を買ってしまった。この世界で生きていくためには、生きてこの店を出るためには仕方がないことだった…


その結果。女は度胸!と開き直ることにした。


とりあえず必要最小限の知識っていうか常識を身につけられさえすればいいのだ。

なんならこの街から出られたら解放してあげてもいいかもしれない。

それならそんなに長くかかるもんじゃないし、いいかもしれないぞ!


買いますと言ったあとなにも言わなくなった私に、お父さんが返品させまいと意気込んでいるのをひしひしと感じる。


いやね。もう、自分で買いますって言ったし、買っちゃったもんは仕方ないから最後まで責任を持って面倒見ますよ。

わたしもいい大人ですから。自分の言動に責任を持ちますよ。


いや、よく考えてみたら面倒みますっていうか、どう考えても完全にあたしが面倒みてもらう立場だよね…


というか、多分この人たち意識ないよね。意識がない間にとんでもない厄介ごとに巻き込まれてるなんて…


本当に申し訳ない。


もしかしたら私よりも可哀想な運命なんじゃないかな。

そう思うとなんだか他人事とは思えなかった。


いつまでもボロボロなのは可哀想ななので私は一刻でも早く怪我をどうにかしたかったのだが、2人触れようとしたところ。


「雇用主でない状態で奴隷に触れることは禁止されておまります。」


と、止められてしまった。


え、こんなにズタボロなのにダメなの?ちょ、理解できないんですけど!?それなら、さっさと契約とやらをしてください!


「か、かしこまりました。しかし、契約内容を決めていただかないと契約が出来ないのですが…」


いや、知らんがな。さっさと契約してくれと思ったが、契約内容を決めなければ契約出来ないというなら仕方ない。


とりあえずお互いが合意すればすぐに奴隷解除できることと、私に危害を加えないことでお願いした。


怪我の治療に私の白魔法が効くのかとか、仮に効いたとしても一回しか使えなかったらどうしようとか、一人であれこれ考えていると、


「お嬢様、契約が完了しました。」


と言われた。


私の前にはボロボロの二人の男性が最初から最後まで頭を下げている。実際は頭を下げているっていうか、横たわってたってのが正しいんだけど…


まだ、死んでないよね?大丈夫だよね?


しかし、どうしてこんなズタボロのまま、しかも部屋の隅なんかに…



「それらは人族ではございませんので。」




・・・



一瞬何を言われたのか理解できなかった。





理解したくないけど放たれた言葉を理解したとたん一刻も早くお店から出たいと思った。

だが、男の人をしかも二人運ぶなんてとてもじゃないが私にはできない。

でも、このお店の人に頼むなんて死んでも嫌だった。


私は祈るよな思いで白魔法を『ヒール』を発動する。


まず、一人目に『ヒール』をかける。

うん。意識があるからまだいけるな。

わたしは立て続けにもう一人に『ヒール』をかけた。

その瞬間もう二度とここには来ないと心のなかで誓いながら私は意識を失った。





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