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クリスマス・リサイタル  作者: 舞夢
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史のプロデビュー

ただし、史のプロデビューについては、一つ問題があった。


史への出演依頼の多さに比して、史自身が交渉している時間が無い。


教授としても、引っ込み思案の史が、商魂たくましい音楽業界での交渉に対応出来るのか、教授自身が否定的な見解。


そうかといって、約一年、既に話もしなくなっている春奈に頼むわけにはいかない。


本当に史の性格を知り抜いているのは、春奈と思っているが、春奈自身が史の話になると、下を向く。


教授としても、あきらめる以外に道はなかった。




そんな折に、自ら手をあげて来た女子学生がいた。


涼子だ。


史とは、ピアノ科で同期になるが、教授の受け持った学生ではない。


ほとんど面識も無かった。


ただ、指導教官から話を聞いたところ、何事にも積極的に取り組む、引っ込み思案の史君にはいいかもしれないと、助言をされた。


そして、春奈に頼んで、涼子の実家の職業も念のために調べることにした。




「はい、関東地方ですが、かなり大きな運送会社を経営しておられます」


「それから、この音大にも、相当寄付を為されています」


「もし上手くいけば、将来は史君の有力なスポンサーにもなっていただけるかもしれません」


調べを終え、報告をしに来た春奈の目には、少し涙が浮かんでいた。




「そうか・・・今の状況をなんとかしなければならないし」


教授としても、春奈の涙の原因をわかっていた。


しかし、マネージャーに手をあげた涼子の積極的な性格、そして涼子の実家の莫大な財産は、史にとって、必ず支えになると考えてしまう。




そして、その結論を史に伝えた。


ただ、教授は、あえて涼子の実家の職業も財産も言わなかった。


史だけは、スポンサーの意向に操られる演奏家になって欲しくなかった。


教授の知る限り、そんな演奏家が多過ぎる。


史にはスポンサーのためではなく、純粋に美しい音楽を追求させてみたいと考えていた。

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