アーシャへ。
アーシャへ
まずは、酷い態度をとってばかりいてごめん。優しい言葉をかけることが出来なくてごめん。ちゃんと考えれば、分かったはずだったのに。アーシャはいつだって笑っていたよね。おじさんが死んだ時も、イリシャ姉が嫁いだ日も、どんなに悲しくても、寂しくても、絶対に泣かなかった。近所の悪ガキに苛められても、絶対に泣かなかったし、負けなかった。知っていた筈なのに、それを忘れていた。そして、自分勝手な嫉妬で酷い態度をとってしまった。本当にごめん。
生まれた時からずっと一緒に居て、一度だってアーシャを嫌いになったことはない。嫌になったことはないよ。これは本当だ。信じて欲しい。学校で遊びの輪に入れなかった時、アーシャが笑顔で手を引いてくれたから、一緒に遊ぶことが出来た。来る日も来る日も続く収穫に嫌気が差した時も、アーシャがうちの野菜がどこの野菜よりも美味しいって言ってくれたから頑張れた。アーシャが勉強ができるのが凄いって言ってくれたから、勉強を沢山した。いつだって、つまらない世界を輝かせてくれたのはアーシャなんだ。
酷いことばかり言って、アーシャの職場の人にも酷い態度をとってしまったから、許してくれだなんて言えないのは分かってる。それでも、叶うなら、もう会わないだなんて言わないで。ずっと首都で暮らしても良い。年に数日しか会えなくなっても構わない。だから、お願いだから、離れるだなんて言わないでくれ。
手紙と共に幸運を。
クリスより。