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よ〜〜く考えてみようー6

「ところで、その教授って、そんなに有名な人なの?」

必死に勉強して やっとの事で三流大学に辛うじて受かった僕には どんな教授が教えているのかなんて、今の今まで考える余裕すらなかった。

「人間学部の教授といえば、中川教授の事かしら?中川教授だったら、専門書もたくさん執筆されているし、ウチの大学の名物教授よね?」

「そう!そうなのよ〜〜!中川教授って、イケメンなだけでなくて、何ヶ国語も話せて、アメリカでも超〜有名人なの〜〜!だから〜、是非とも講義を受けたくって☆」


ああ、うん、やっぱりそうなんだね。


「キョウ?……ジュ?」

アランが教授という言葉に反応した。

その様子を見ていた遥香ちゃんが、天使のような微笑みを浮かべながら、とんでもない事を言い出した。

「あら?アランくんも興味ある?じゃあ……今から会いに行っちゃう?」


「えええっっ!?」

僕はとにかく焦った。まだ引越しの片付けも済んでいないのに!!

……じゃなくて!アランを外に出すっていう事は、大変な事になるんじゃ……。


「イッチャウ。アイニイッチャウ」

アランは耳が良いのか、カタコトの割にはハッキリとした発音で遥香ちゃんの言葉を真似た。

でも、絶対にアランは言葉の意味を理解していない……。

「アランくんが〜そこまで言うならぁ〜、仕方がないからぁ〜中川教授に〜〜……会いに行きましょっ♡」

ガッくんは仕方がないといった体を装い、嬉しそうに頬を赤らめながら、半ば強引にアランの手を引き部屋を出て、鼻歌まじりで小走りに大学へ向かって行ってしまった。

よく見ると、アラン用にオシャレな靴まで用意されていた。


呆気にとられた僕は、横目に遥香ちゃんの様子を伺った。

遥香ちゃんは僕の方に顔を向け、ニッコリと微笑み、

「じゃあ、私達も行きましょうか」

と言って部屋を出てアラン達を追いかけた。

「え?ええっ?!」

僕はあわてて靴を履き、外に出たは良いが鍵を部屋に忘れて取りに戻り、急いで部屋の鍵をかけて追いかけた。

少し前を小走りで進む遥香ちゃんは、時々振り返りながら僕に声をかける。

「早く早く!学くんとアランくんに追いつかなきゃ」

戸惑う僕をよそに遥香ちゃんも結構楽しそうだった。

「あああ、ちょっと待って!」


大学に着く少し前、アラン達に追いついた僕達は ガッくんを先頭に、アラン、遥香ちゃん、僕、と、風変わりな4人組のパーティが結成されたみたいになっていた……。


『異世界チート』に憧れる僕にとっては不本意な事に、こうしてアランに異世界での生活が始まったのである。

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