誕生日
時系列でいくと、「初めてのクリスマス」、「初詣」の後です。
順番がばらばらで、すみませんm(._.)m
アイツは、気付いているのだろうか?
もうすぐ、自分の誕生日だと言うことを……。
オレは、冬休みの間バイトしてた。
アイツの喜ぶ顔が見たくて…。
しかし、イベントの後に彼女の誕生日は、やっぱきつい。
小遣い、幾ら有っても足りん。
ということで、またも姉貴のところでバイト三昧。一応、彼女とも会ってはいるけど…、オレのサプライズには気付かれたくないから、彼女が、バイトの日にオレもバイトに入った。
「紫音。彼女と上手くいってるの?」
姉貴が、ニマニマしながら聞いてくる。
何だよ、その偽笑いは…。
「一様は……」
クリスマス前に別れそうになったなんて、口が裂けても言えない。
オレの不注意で、彼女を傷つけてしまったのも言えない。
「ふーん。まぁ、いいけど。それより、何でまた手伝ってくれてるの?イベント終わったばっかだけど?」
「いいだろ。姉貴には関係ない」
つんけんな態度をとるオレに。
「…彼女の誕生日が近いとか?」
少し考えてから言う姉貴。
うっ……。
「あぁ、図星か。まあ、頑張れ」
姉貴は、バシッってオレの背中を思いいっきり叩く。
「痛てーよ。バカ力」
オレは、姉貴の背中に叫んだ。
クリスマスは、プレゼントしか渡すことできなかった。でも、彼女の誕生日にはちゃんとお祝いしたいって思った。
オレは、プレゼントを探しに街にでた。
…で、見つけたのがこの間渡したブレスレットと同じデザインのイヤリング。
これ……彼女が、着けたところを想像した。
ハニカム姿目に浮かんだ。
これでいい。これが、いい。
直感で決めた。
誕生日前日。
「梓。明日は開けとけよ」
一緒に下校する彼女に唐突に伝える。
けど、不思議そうな顔をしながら。
「どうしたの?」
そう口にする。
えっ、気付いてないのか?
「何でもいいから、明日はオレのために空けとけ」
って、オレって何様?
つい、上から目線でいっちまった。
「……う、うん」
たじろぎながら、そう答える梓。
おっし、これで約束を取り付けれた。
「じゃあ、また明日な」
オレは、梓の家から家路に着いた。
誕生日当日。
授業が終わり、直ぐ様梓のクラスに足を向けた。
「梓。行くぞ!!」
オレは、入り口から叫んだ。
「えっ、し、紫音くん……」
梓の驚いた顔。
うん、やっぱ可愛い。
って、違う。
オレは、梓の席に行き鞄を奪取し空いてる手で梓の手をとった。ちゃっかり指を絡ませ、俗に言う恋人繋ぎってやつ。
「梓、また明日ね」
梓と仲の良い朋ちゃんが、ニコニコしながら手を振ってる。
「…あ、うん。また明日」
梓が、戸惑いながら挨拶してる。
「ほら、行くよ」
オレは、手を引っ張って歩き出した。
「…ちょっと、紫音くん。そんなに慌てなくても……」
梓が、何か言ってるが無視。
今日は、リベンジなんだから。
っても、結局は、そんなにお金掛けれなくて、近くのレストランなんだけど……な。
「紫音くんどうしたの?」
梓が、不思議そうな顔をしてオレの顔を見上げてくる。
「まぁ、いいから……。ここに入るぞ」
手を繋いだまま店にはいる。
戸惑いながら、梓は着いてくる。
「ねぇ、ここ制服でいいの?」
梓が不安そうに小声で聞いてきた。
「うん、大丈夫だよ」
オレはそんな梓にニッコリ笑って答えた。
空いてる席に座る。
「ねぇ、紫音くん。本当に大丈夫?」
不安顔でオレの前に座る梓。
確かに回りは、お洒落な格好をした人ばかりだが……。
「うん。大丈夫。気にしないで、梓が好きな物食べて」
ニコニコ笑顔でメニューを梓に渡した 。
梓は、恐る恐るメニューを開き、吟味していく。
「紫音くん、私これが食べたい」
って、ニッコリ笑ってメニューを指差す。
「…ん?」
美味しそうだ。
「注文するな」
オレはそう言って、ウエーターを呼んで注文した。
「ねぇ、紫音くん。何で急に誘ったの?」
不可思議な顔をする梓。
まだ気付いてないのか…。
「梓。今日は、何日ですか?」
「1月23日……」
そこまで言って、気が付いたみたいだ。
「そう、今日は梓の誕生日だろ。だから、こうしてお祝いしてるんだろ。…っても、余り豪勢にはいかないけどな…」
オレはそう言って、頭を掻いた。
その言葉を聞いて、梓が首を横に振る。
「嬉しい……。紫音くんのその気持ちが、とても嬉しい」
彼女が、ハニカンだ笑顔を見せる。
可愛い。
惚れた、弱味だな。
梓の行動、仕草一つとっても愛しい。
大好きだと叫びたいくらいに……。
食事を終えてデザートのホールケーキが出てきた。プレートには、“梓 お誕生日おめでとう”って、書かれてある。そして、16本のローソクが立てられている。
誕生日特有の唄を歌って、梓がローソクの火を消した。
「おめでとう、梓」
オレは、そう言って梓を見る。
梓は、嬉しそうにしながら顔をうつむかせる。顔が、真っ赤。
そんな彼女も大好き。
「梓、これ」
オレは、ポケットからイヤリングが入ってる箱を取り出した。
「えっ…いいの?」
「梓以外だれがもらってくれるんだ」
って、口許に笑顔を浮かべた。
恥ずかしそうな笑みを浮かべて。
「ありがとう。大切にするね」
梓が、笑顔でそういう。
あーもう。何で、そんなに可愛いんだよ。
直ぐに抱き締めたい衝動を押さえてた。
「紫音くん、大好き」
「オレもだよ、梓」
その後、梓を思いいきり腕の中に抱き締めた。
これが、ラストのイベントストーリーです。
楽しんでいただけたら、幸いです。