表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おちんちんを取り戻せ  作者: 別次 孝
17/39

聖法剣士ミサキちゃん その2

 え? 百ペリカは安いって?

 そんなことはねぇよ。

 えらい先生だって言ってるだろ?


 金は命より重い……!


 実はこの世界では、ある意味、それは真実だったりもするのだ! ざわ……ざわ……。

 というのも、国によっては、いまだに人身売買をしてるからである。

 より正確には、奴隷売買といった方が正しいかもしれない。つまり、奴隷制度みたいなものがある国が、そこそこ存在してるのだ。

 奴隷、つっても法制化されてるようで、ちゃんと権利は認められてるし、想像するほどひどい扱いを受けてるわけでは、どうもないらしい。だからなんて説明したらいいかな、単純にいうと、どうやら国家運営にかかわるシステム上の問題らしいのだ。


 おいおい、そこで引かないでくれ。俺だって、たまには真面目な話もするさ。いつも、おちんちんの話題しかないわけじゃあないぜ。


 さっくり解説すると、まずは国の数の話だが、どうやらこの世界の人間界には、だいたい二百の国家が認められてる。

 二百だぜ? 結構な数だろ? 俺が元いた世界、つまり地球上の国の数と、そう変わらないんじゃないかな。地理はあんまり真面目に勉強してなかったから、くわしくは知らんけどさ。

 当然のことだけど、この世界も国の大きさにはずいぶんとちがいがある。巨大な国もあれば、いま俺がいるイミィグーン公国みたいに、えらくちっちゃな国もある。

 ちなみに、超大国って呼ばれる五つの国は、常備軍だけでフツーにそれぞれ十万人を超えてるらしい。それと比べると、イミィグーン公国の常備軍五千人というのは、まあおもちゃの兵隊みたいなもんだ。

 それでも、この公国は自治も認められてるし元首もいるから、もちろん一国としてカウントされてるけどな。


 で、何を言いたいのかというと、国によって政治体制がずいぶん異なる、ということなのだ。

 奴隷制度のところもあれば、封建制度のところもあるし、ガチガチの神権政治のところもある。民主制度っぽいところもあるけど、残念ながら、男にしか参政権がないみたいだ。

 やっぱり大切なのは、おちんちんといったところか。


 なにぃ! 結局、おちんちんの話になってるじゃないか! なんてざまだっ、女将おかみを呼べぇ!


 話がそれたぞ。


 さて、奴隷制度も、ひとつの国家運営システムにすぎないわけだが……ごめん、最初はなんの話だったけ……ああそうだ、お金の話だったな。

 そうそう、お金で思い出したのだが、そろそろお金の手配をしないといけないのだ。


 このミサキちゃん、残念なことに、住所不定の無職です。

 親戚もいないし(正確にいうと、いるのかどうか分からない)、保証人もいないので、どっかで働くのは、ちょいと難しい。それに俺の目的は、この女体の元の持ち主を探すことにあるから、旅を続けてたいので『どこか一ヶ所に留まって生活のための労働』というのは歓迎できない。

 いわゆるギルドみたいな組合組織は、いちおう存在する。そこに入ってあっちこっちで仕事をもらいながら持ち主探し……っていうのが妙案かもしれないが、そもそもギルドの入会資格が結構メンドイっぽい。コネのない少女ひとりでの入会は、かなり厳しそうだ。


 じゃあどうすんの、もしくは今までどうしてたの、って訊かれるかもしれないが、実は裏技があります。さすがに自分で会得したわけではなくて、方法はヨヨちゃんに教わりました。

 あ、ヨヨちゃんっていうのは、前に例の仟魔長セーティクトが言っていた、センヨヨという名の魔族のことです。

 話すと長いんで、そのうち機会があれば説明するけど、まあ『変わり者の物知り魔族』だと思ってくれればオッケーだ。

 その金策の方法だけど、まあ、説明するよりやってみせた方が早いかな。


「ケイコちゃん、ちょっといいかな、ね? そこの小川ぞいに落ちてるちいさな石ころ、好きなのをいくつか選んで、もってきて欲しいんだけどなー」


 ケイコちゃん、ちょっぴり不思議そうな顔をしたものの、すぐにペンギン歩きで言う通りにしてくれました。なんていい子なんだ、あとでチューしてあげなくてはいかんな(報酬としての義務的な意味で)。


 何も言わないのに、ケイコちゃんは小川の水で、石ころを洗ってからもってきてくれた。気がきくなあ。

 俺はもらった小石を左手の手のひらの上に置くと、右手で短剣を抜いた。

 当然のようにオートで白く光りはじめた聖剣を調節して、その光を、細く弱く絞る。

 そして、手の上の石を、剣の白い部分で軽くこつこつとたたく。


 たたく。たたく。たたく。

 小石を割らないように、ていねいに、だがしっかりと。


 そうするうちに、聖力が石にうつって、石自体が淡く白く光りはじめた。ケイコちゃんがそれを見て、ほえー、みたいな声をあげた。その白く輝く石を、そっとケイコちゃんの手にのせてあげる。もともとプレゼントするつもりだったから、ケイコちゃん自身に素材を拾ってきてもらったのだ。


 はい、この白く光る石が、聖輝石セフカベンです。もろ、お金になります。

 買い手は、聖法術師とか、軍隊とかかな? 国の役所で換金してもらえる。聖輝石セフカベンは、石にたまった聖力を引き出して使うものなんだけど、けっこう人気があるのだ。


 聖力って言うのは、簡単にいえば精神のパワーに近い。普通の人間は、個人で一日に使える聖力の量には限度がある。

 だから、石とか宝石とかに聖力をためて聖輝石セフカベンとし、必要なときに石の聖力を解放し、自分の聖力と合算して使う、とのことだ。電池みたいな感覚だろうか。素材の石なり宝石なりは、繰り返し使えるから、電池というよりも充電池のほうがより正確かな。


 んで、前にも話したが、この俺の女体はかなりの廃スペックだ。

 一般人とちがい、湯水のように聖力が湧いて出るので(魔力もそうなのだが、正直限界に達したことがないのでMAX量は不明)、聖輝石セフカベンは作り放題である。

 当然、お金も稼ぎ放題なのだ!


 ……と思っていたのか、カカロットォ! 


 世の中、そんなに甘くはなかった。

 最初のころ調子に乗って、あーひゃっひゃっひゃ、みたいに鬼のように石を白くさせまくり、交換所に自信満々で持ち込んだら、速攻で警備兵を呼ばれました。


「よくも、こんな国宝級の聖輝石セフカベンを!」


「盗んだなコイツ!」


「攻撃目標はあの少女だ!」


 みたいな流れになって、あれは本当に大変だった。

 つまり、聖力をめすぎたのが良くなかったのだ。あれ一個で、小国なら買い取れるような価値のあるスゴイ代物を、俺は作り上げてしまってたらしい。


 そのあと、廃スペックを生かして、とにかく逃げまくった。正直、魔族だって殺すのはすこし抵抗があるのに、人殺しだけは絶対にゴメンだったからな。

 おかげで、あの国には出入り禁止になりました。たぶん今でも指名手配されてると思う。国境超えればセーフなのは幸いだった。国際警察とかあったらアウトだったね。


 すなわち、過ぎたるは、及ばざるがごとし。

 いまでは安っぽい質の聖輝石セフカベンしか作っていないぜ。しかも、そこそこの数を、場所と日にちを変えて、何回かに分けて売っている。それなら怪しまれない、というわけだ。


 色々と聞いてわかったのだが、聖輝石セフカベンというのは、俺みたいに聖法術師が自作するケースより、戦場で入手されることの方が多いとのことだ。

 つまり、戦場で術師や騎士が聖法をバンバン使って戦闘をすると、周囲の石みたいな無生物に、聖力の余波が染み込んでいくのだ。たとえば、近ごろ戦闘があったというウーソ村にいけば、それ相応の聖輝石セフカベンがきっと落ちてることだろう。そのうち遺体の埋葬がてら、誰かが拾いにいくにちがいない。

 なので、今回は『ウーソ村で拾いました』とかごまかしてもいいかもしれない。


 もちろんだけど、これの魔力バージョンもあって、魔闇石マジンドーという名前です。

 魔族の世界で、やっぱりお金のように扱われるとのことだ(ヨヨちゃん談)。

 当然、戦闘後のウーソ村には魔闇石マジンドーも一緒に落ちてるだろうが、普通の人間にはまず扱えない。そういうのは聖職者や聖法術者が集めて、お払いしてから処分するらしいぜ。


 ……ふう。なんか、真面目な話ばっかりしてたから、肩がこったぞ。こんなときは、幼女をでるに限る。

 ほらケイコちゃん、こっちへおいでよー。

 しつこいようだが、俺はロリコンじゃな(以下略)。


 そんなこんなで、ケイコちゃんと一緒にご飯を食べたり、添い寝をしたり、チューしたりして移動するうちに、数日で国都についた。


 はい? すんげー空気がピリピリしてるんだけど、何これ?

 動員中の臨戦態勢って、こんなきっつい感じなのか。

 なるほど納得の警戒態勢だけど、これは簡単に中に入れないかもなー。

 俺はまあいいけど、ケイコちゃんは何とかしたいなあ、どうすんべか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ