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平和な世界  作者: タフボーイ
第一章
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第八話

「ここが家だ」


 恭輔に案内されて着いた場所は、何の変哲もない二階建ての一軒家だった。

 玄関の近くには畑もあり、野菜を育てているようだ。


「私も入っていいの?」

「ああ、親にも報告したいしな」


 両親へのご挨拶のようで、美咲は変な感じだった。


 ☆★☆★☆★


「ただいま」

「おかえりなさい、早かったわね」


 玄関に入ると奥から恭輔の母が出てきた。

 人の良さそうな顔立ちだった。


「あら、その子は?」

「ああ、家の近くで会ったんだ。

 話すと少し長くなる」

「ちょ・・・ちょっと、あなた!恭輔が女の子を!」


 恭輔の母は慌てて夫を呼んだ。


「どうした?大声を出して」


 急に呼ばれた恭輔の父は小走りで出てきた。

 非常に真面目そうな父だ。


「お、おじゃまします」


 美咲は恭輔の両親の勢いに圧倒されてしまった。


「恭輔・・・お前、こんな可愛い女の子を連れてくるなんて」

「父さん、それどころじゃないんだ」


 恭輔は後ろを向き、背負っている凛を見せた。


「凛!また発作が起きたのね?」

「ああ、母さん頼むよ」

「わかったわ」


 恭輔は背負っている凛を母に預けた。

 凛を抱きかかえた恭輔の母は、二階に上がって行った。


「父さん、話したいことがあるんだ」

「ああ、その子は?」


 恭輔の父は息子の後ろにいる美咲に視線を向けた。


「はじめまして、美咲といいます」

「美咲が凛の発作を抑えてくれたんだ」

「ほぉ・・・まあ上がりなさい」

「はい、おじゃまします」


 美咲は、またヴォイドに言われるだろうと思いながら、家に上がった。


 ☆★☆★☆★


「ほぉ、治癒魔法でな~」


 恭輔の父は頷きながら言った。


「はい、私もよく覚えてないんですけど」

「でも凛の病気は治らないんだろ、父さん?」

「ああ、医者が言うには今までに無い症状みたいだからな。

 魔法でも治るかどうか・・・」


 息子の問いに、父は渋い顔で答えた。


「凛ちゃんはいつから病気なんですか?」

「生まれたときからだよ、今でも治療法を探しているんだが」


 恭輔の父は目を閉じて、首を横に振った。


「地下の書庫に手掛かりがありそうでも、文字が読めないんだ。

 もう使われていない文字ばかりでね」

「地下・・・あの、私も見させてもらってもいいですか?」

「ん?ああ、廊下に降りる階段があるから好きに使ってくれて構わないよ」


 恭輔の父は廊下を指差すと、ちょうど二階から恭輔の母が降りてきた。


「母さん、凛は?」

「ぐっすり眠ってるよ」


 恭輔の問いに、母は微笑んで答えた。


「じゃあ、今ご飯作るからね」

「あ、私も手伝います」

「あら、助かるわ」


 美咲は、台所に向かう恭輔の母に付いていった。

 

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