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平和な世界  作者: タフボーイ
第三章
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第五十六話

 空が少しだけ青みを帯び始めた時に美咲達は出発した。

 町まであと少しだということを村人から聞いたからだ。

 早朝なら魔物に襲われることが少ないというのも理由のひとつだ。


「さすがにみんな疲れてますね」


 美咲は後ろを歩いている人々を振り返りながら言った。

 一日中歩き続けたことと慣れない野宿で顔に疲れが窺える。

 中には薪を載せていた台車に座って移動している者もいる。


「まぁ仕方ないさ、あの集落から出ることは滅多にないだろうからね」


 レイブンは疲れを全く感じさせない軽やかな足取りだった。

 恭輔は周囲に神経を集中させているようで、慎重に歩いている。


「もう少しですよ、頑張ってください!」


 美咲は元気づけるために声をかける。

 その声に顔を上げた人々は周りと声をかけ合い、少しずつ顔に覇気が戻り始めた。

 朝靄のかかる中、町を目指して歩き続けた。



   ☆★☆★☆★



「着いたー!」


 美咲は町に足を踏み入れて、体を伸ばした。

 集落の人々も長い旅路を終え、安堵の声を漏らした。


「思っていたよりも大きい町だな」


 恭輔は町中に視線を巡らせた。

 海に面した町は活気に満ちていた。

 交易が盛んなのか、小舟に商品を載せたまま商売をしている者が多くみられる。

 建物も立派な造りのものが多いようだ。

 大勢で訪れたせいか、美咲達は町の人々の注目の的になっている。


「でも、これからどうすればいいのかな?」


 美咲は町民の視線を気にすることもなく、疑問を投げかけた。

 集落に住むことができなくなってしまった以上は、この町に移住するしかない。

 しかし、この大人数では受け入れてくれるかさえわからない。

 その問に答えたのは集落の長老だった。


「私に任せなさい、この町の町長とは知り合いだからね」


「それなら僕達も付いていった方がいいね」


 レイブンは美咲に顔を向けながら、恭輔の肩を叩いた。

 ゆっくり休めると思っていた恭輔はレイブンを睨みつけた。

 見張りでの寝不足に加えて、神経を研ぎ澄ませて歩いていたせいもあった。

 そんな恭輔を尻目に話は進んでいく。


「確かに私達もいたほうが話は進めやすいですね」


 集落の人々は憑りつかれていたため、事情を詳しく知らない。

 解決した美咲達がいたほうが話が早いのだ。

 正確に言えばレイブンがいたほうが話が早い、なのだが。


「じゃあ行きましょうか」


 美咲のダメ押しで長老と美咲・恭輔・レイブンの四人は町長の家に向かうことになった。

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