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平和な世界  作者: タフボーイ
第三章
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第四十三話

「なにか・・・様子がおかしいな」


 レイブンは異変を感じ、辺りを見渡した。

 先ほどよりも歩いている人が減った気がする。


「・・・まさか!」


 レイブンは歩いてきた道を走って引き返した。

 最悪の展開を想像したからだ。


「お婆さん!」


 レイブンは最初に訪れた大きな家に上がり込んだ。

 老婆は座布団に座り、紅茶を飲んでいる。


「そんなに急いでどうしたんだい?」

「人を探してるんだけど・・・」

「ああ、あの子なら奥で寝てるよ」


 老婆は奥の部屋に顔を向けた。

 それを見たレイブンは笑みを浮かべた。


「おかしいなぁ、僕は美咲ちゃんを探してるなんて言ってないよ?」


 老婆はレイブンに向き直り、首を横に振った。

 自分の言ったことを取り消そうとしているようだ。


「そ、そんなことより、あの子はすごいね~」

「すごい?何が?」

「あんな魔力持った人は初めて見たよ」

「へー、それは変だな」


 レイブンは顎に手を当てて、首を傾げた。

 その動作は非常にわざとらしく、確信めいたものがあるようだ。

 老婆は何かミスをしたのかと、慌てている。


「な、なんだい」

「魔力の大小がわかるものは限られているんだよ」


 レイブンはゆっくりと老婆に近づいていく。

 二人の距離が近くなるにつれ、老婆は冷や汗をかき始めた。


「一つは魔力がある人間、もう一つは・・・」


 レイブンは焚き火の前で足を止めた。


「魔物だよ」


 レイブンは冷たい目で老婆を見下している。

 その目には光がなく、異物を見るような目だ。


「わ、私は魔法使いだよ」

「ふーん、じゃあ魔法使ってみてよ」


 レイブンは冷たく言い放った。

 最初訪れたときとは雰囲気が全く変わっている。


「そ、それは・・・」

「出来ないんだろ?まぁ、あんたの正体はドールだから当たり前か」

「・・・なんだ、気付いていたのか」


 老婆の声が急激に低くなった。

 その声は腹に響くほど低い。


「あの娘を乗っ取ってからにしようと思っていたが・・・仕方ない」

「何?美咲ちゃんは無事なのか?」

「意志が強くてな、時間がかかりそうだ」

「そうか、それがわかればお前に用はない」


 そう言うとレイブンは、腰に下げているダガーを両手に持った。

 ドールは低い声で笑っている。


「そんなもので俺を倒せるのか?」

「逆だよ、お前程度ならこれで十分だ」

「減らず口を!」


 ドールの気に障ったようで、老婆の口からドールが飛び出した。

 その大きさは、美咲を襲ったドールの倍以上ある。

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