第四十一話
ドール・・・人形?
スライムとは別の魔物なんだろうか?
しかし、恭輔がスライムに負けるはずがない。
「そう、あいつらに実体はない。幽霊みたいなもんだね」
「ゆ、幽霊・・・ですか?」
美咲は全身に鳥肌が立ってしまった。
人形と言えば、3歳の頃に遊んだ<お人形さん>しか想像していなかったからだ。
それに、昔から幽霊などの霊関係が苦手だった。
「奴らは人の体に乗り移ることでその人の意識を奪う。その人が強ければ強いほど厄介だね」
「じゃあ恭輔も?」
「ドールの仕業だろうね」
恭輔が敵になるなんて・・・。
操られているとは言っても、戦いたくない。
美咲は俯き、悲しそうな顔をしている。
「恐らく奴らのリーダーは長老に乗り移ってるはず。そいつを倒せば恭輔も自由になるよ」
「一般人を攻撃するんですか?」
「大丈夫、ドールが体から出たところを倒すからね。それより・・・」
レイブンはそう言うと、美咲を見た。
視線を感じ、美咲は顔を上げた。
「ハニーが狙われたら危険だね」
「え?私ですか?」
「うん、君にはとんでもない魔力が秘められている。それがドールに渡ったら・・・」
レイブンはその後の言葉を濁した。
――私ってそんなに魔力があるんだ。
「とりあえず、もっと集落を見て回ろう」
「わかりました。それなら手分けした方が早いですね」
「そうだけど・・・大丈夫かい?」
相当心配なのか、レイブンは困った顔をしている。
――そんなに頼りないのかなぁ?
「大丈夫です、任せてください」
「う~ん、何かあったらすぐに呼ぶんだよ?」
「はい、じゃあここに集合にしましょう」
美咲はそう言うと、振り返り歩き始めた。
その後ろ姿が見えなくなるまで、レイブンは不安そうに見ていた。
少し書き方を変えてみました。
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