第二話
「ねぇ、なんでおばあちゃんはたまにしか会えないの?」
小さいころの美咲は手を繋いでいる祖母に訪ねた。
「おばあちゃんはね、困った人を助けるお仕事をしてるんだよ」
祖母は優しい笑顔で答えた。
「すごーい!美咲も大きくなったらおばあちゃんみたいな仕事したい!」
「そうかい、ありがとう美咲」
☆★☆★☆★
「今のは、おばあちゃんと・・・小さい頃の私?」
昔の記憶が蘇ると頭痛が治まってきた。
辺りを見回すと、血を流して倒れている祖母が視界に入った。
「おばあちゃん!!」
叫ぶと徐々に美咲の記憶が薄れていった。
「な、なんだこの魔力は!?」
レギノスは、兵士に捕まりうなだれている少女から発せられている魔力に驚いた。
「これが大魔術士の血筋か!」
美咲が纏っている魔力が爆発すると、兵士が後ろに吹き飛んだ。
「よくも・・・おばあちゃんを!!」
美咲が手を上にかざすと、老婆の手元にあった杖が引き寄せられるように美咲の手に収まった。
「なっ、杖が!まずい!」
美咲の杖に魔力が集まっていく。
「くそ!退くぞ!」
レギノスは宙に浮くと、姿が見えなくなり、倒れていた兵士もフラつきながら消えた。
「あれ、私・・・おばあちゃん!」
美咲が我に返ると、纏っていた魔力も消えた。
倒れている祖母に走り寄る。
「おばあちゃん・・・おばあちゃん!」
「み・・・さき」
「なんで、実のおばあちゃんだって言ってくれなかったの?」
「お前を・・・巻き込みたく無かったんだよ」
そう答える祖母の顔は、昔と同じ優しい笑顔だった。
「美咲、よく聞きなさい」
「しゃべっちゃダメだよ!」
「いいんだよ、もうすぐ・・・消えちゃうんだからね」
「消えるって・・・」
「奴らはあんたの顔を知ってしまった・・・
幸い、奴らはしばらく間のこっちの世界には来られない」
祖母の呼吸が浅くなっていく。
「その間に杖を持ってどこか安全な場所に隠れなさい
そうすれば・・・が・・・なんとかしてくれるからね」
「おばあちゃん?何、よく聞こえないよ?」
「最後に・・・美咲の顔が見れて良かった・・・」
徐々に体が透けていく。
「おばあちゃん、おばあちゃーん!!」
祖母の姿は完全に消えてしまい、人通りの少ない道に美咲の声だけが響いた