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平和な世界  作者: タフボーイ
第二章
27/82

第二十六話

「う・・・ん」


 美咲は子供のはしゃぎ声で目を覚ました。


「そっか、すぐ寝ちゃったんだ」


 家に案内された美咲達は部屋に入るとすぐに眠りについた。

 まだ外は明るく、昼を過ぎたぐらいだろうか。

 隣を見ると、恭輔の姿はなかった。


「恭輔?どこいったんだろう?」


 美咲は起きあがり、部屋を出た。

 すると、食卓から聞き覚えのある声がした。


「あれ?ここにいたんだ」


 美咲は椅子に座り、食事を摂っている恭輔を見つけた。

 美咲の声を聞き、恭輔は振り返った。


「今起きたのか?」

「うん、恭輔は早いんだね」

「いや、俺も起きたばかりなんだ」


 美咲が椅子に座ると、長老が料理を運んできた。


「昨日の宴の余りだが、よかったら食べてくれ」

「はい、いただきます」

「おお、そうだ」


 長老はそう言いながら椅子に座った。


「村の連中が礼を言いたいらしくてな、このあと村を回ってくれるか?」

「はい、わかりました」


 美咲は手を合わせると、食事を始めた。


 ☆★☆★☆★


「やっぱり若い人もいるんだね」


 食事を終えた美咲達は、村の中を歩いていた。

 子供達が楽しそうに走り回っている。


「ああ、数は少ないけどな」


 美咲達に気付いた子供が、声を上げた。


「あ!救世主のお姉ちゃんとお兄ちゃんだ!」

「きゅ、救世主?」

「うん!爺ちゃんがそう言ってたよ!」


 子供の声を聞き、村の老人達が集まってきた。


「おお、救世主様だ!」

『救世主様ー!』


 老人達が一斉に声を上げる。

 美咲は困惑して恭輔を見るが、恭輔は笑みを浮かべている。


「怪しい宗教みたいだな」

「そうじゃなくて・・・」

「救世主様」


 美咲が困っていると、老婆が声をかけてきた。


「うちで梅干しでも食べてないかい?」

「梅干し・・・ですか?」

「なんだ急に・・・この婆さん、ボケてるのか?」


 美咲は村人に見えないように、恭輔の手の甲をつねった。

 恭輔は小さくうめき声を上げた。


「はい、いただきます」


 美咲は笑顔で返事をした。


「そうかい、じゃあ家に来なさい」


 美咲達は老婆に案内されて、家に向かおうした。

 すると背後から大きな声がした。


「おい!大丈夫か!」


 声は村の入口の方からのようだ。

 美咲は振り返り、走り出した。


「美咲!」


 恭輔は、突然走り出した美咲の後を追った。

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