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平和な世界  作者: タフボーイ
第二章
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第二十二話

「よし、寝ているな」


 美咲達が眠りについた頃、照らされた影が障子に映った。

 その影は刃物を持った老人達で、部屋の様子を窺っている。


「こいつらは危険な気がする、早くやってしまおう」


 一人の老人が暗闇の中、恭輔に包丁を振りおろした。

 しかし、包丁の軌道は金属音と共に逸らされた。

 その光景を見た別の老人が、急いで明かりをつけた。

 すると、気配に気付いた恭輔が剣を抜いていた。


「おい、これはどういうことだ?」

「なんだ、起きてしまったか」


 笑みを浮かべた老人の姿が、溶けるように変化していく。


「お前ら、スライムだったのか!」


 本来の姿に戻ったスライムは、恭輔に向かって触手を伸ばした。

 恭輔は触手を剣で払い、すかさず本体を真っ二つにした。


「美咲!起きろ!」

「う~ん」


 大声で名前を呼ばれ、美咲は上体を起こした。

 目の前には刃物を持った老人が、大勢でこちらを見ている。


「わっ、なに?どうしたの?」


 美咲が慌てているのを確認すると、老人は農作業用の鎌を振り上げた。

 恭輔は背後から、老人の体を斬りつけた。


「恭介!なんで・・・」


 美咲が言い切る前に、老人は本来の姿に戻り、消えていった。


「今の・・・魔物?」

「ああ、こいつらは全部スライムだ。自分が触れたものに姿を変えることができる」


 そう言いながら恭輔はスライムを倒していく。

 美咲も杖を出し、魔法を唱える。

 しかし、スライムの触手によって、詠唱は中断された。


「なにこれ・・・力が抜け・・・る」

「美咲!」


 スライムを蹴散らしながら、恭輔が駆け寄ってくる。


「こいつらの触手は生気を吸い取る。お前も魔法じゃなくて、物理で戦ったほうがいい」


 魔法を使うには集中力が必要なため、敵の数が多いときには使うことができない。

 恭輔は美咲を戦わせたくなかったが、触手を伸ばしてくるため、庇いながら戦うのは無理だと判断した。


「くそ、数が多すぎる」


 いくら倒しても減らない魔物に、恭輔は疲れが出てきてしまった。

 美咲は敵の攻撃を杖で払ってはいるが、倒すことまではできない。

 二人の周囲を魔物が囲んでいく。


「こんなところでやられてたまるか!」


 恭輔は剣を振り回し、魔物をなぎ払っていく。

 しかし、恭輔の攻撃を避けたスライムが一斉に美咲に触手を伸ばした。


「きゃあ!」

「美咲!」


 無数の触手に阻まれて、恭輔の声は美咲に届かなかった。

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