第二十話
「どこに行けばいいのかな?」
美咲は歩き始めたものの、道がわからなかった。
美咲が首を傾げて見てくるので、恭輔は少し考え込んで、前を見つめた。
「このまままっすぐ行けば、小さい村があったはずだ。
とりあえず、そこに行こう」
「村って、どれぐらいで着くの?」
「今からなら昼過ぎには着けると思う」
「じゃあ、急がなくても大丈夫だね」
まだ朝なのですぐに着けそうだった。
美咲達はゆっくり歩き始めた。
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「これは・・・村だね」
最初に着いた街が頭に残っていた美咲は呆然とした。
その村はそこら中に畑が広がっており、いかにも村といった感じだった。
若い人の姿は無く、老人ばかりだった。
「前はもっと人がいたはずなんだけどな」
恭輔は高齢化の進んだ村を見渡した。
すると美咲達に気付いた村人が近づいてきた。
村人は白髪で腰も曲がっており、いかにも老爺といった風貌だった。
「おや、この村に人が来るとは珍しいのう」
「のうって・・・ベタすぎるだろ」
「うん、今どきそんなこという人いないと思ってた」
二人は小声で話しながら、頷いている。
老人は美咲と恭輔の顔を交互に見ている。
「折角来たんじゃから茶でも飲んで行かんかね?」
「いいんですか?」
「うむ、久しぶりのお客さんじゃからな」
老人は髭を触りながら、笑っている。
「時間あるし、いいよね?」
「まぁ、いいけど・・・」
美咲達は老人に案内されて、村の中に入っていった。
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「ほー、二人旅なんて若いのにすごいのう。
わしも若い頃はすごかったんじゃぞ」
家に案内された美咲達は老人の話をずっと聞かされていた。
正確には老人達、といった方が正しいだろう。
客人が来たという噂を聞きつけた村人たちが、家に押し掛けていた。
「美咲、もう夜だぞ」
「そんなこと言ったって・・・」
どれぐらいの時間が経っただろうか。
日が暮れてしまったが、老人達の話は途切れることなく続いている。
話を聞いている間に、夕食までご馳走になってしまった。
「おお、そうじゃ!もう遅いから二人とも泊まっていきなさい」
「誰のせいでこうなったと・・・」
恭輔は睨むように老人を見ている。
「恭輔、善意で言ってくれてるんだから泊まろ、ね?」
「今から出発しても遅いし・・・仕方ないか」
恭輔は諦めたようにため息をついた。
「おお、では早速部屋に案内しようかの」
老人は立ち上がり、美咲達を手招きした。
二人は立ち上がると、老人に付いていった。
GWは忙しいので、書けるときに書いていきたいと思います