第十二話
今回は話の切れ目があるので、短くしました。
森に囲まれた一本道を抜けると、美咲と恭輔は風が吹きっさらしの草原に出た。
遠くに小さな山が見える。
「あれがタリス山だ」
恭輔に言われ、美咲は山を見つめた。
思っていたよりも小さく、一日もあれば帰ってこれそうな高さだった。
「ここら辺に魔物はいないの?」
横を歩いている恭輔を見上げ、尋ねた。
「ああ、山に登らない限りはな。
山には結界が張ってあるから、山から下りてくることもない」
「へー、意外と安全なんだね」
美咲はそこら中に魔物が歩き回っている光景を想像していたので、意外だった。
「暗くなると面倒だから急ぐぞ」
そう言うと恭輔は早足で山に向かった。
美咲は頷くと、恭輔の後に続いた。
☆★☆★☆★
「着いたね」
美咲は山に着くと、上を見上げた。
近くに来てみると、山は思っていたよりも高かった。
山からは邪悪な気のようなものを感じた。
「ここの魔物はそこまで強くはない。
でも、油断はするなよ」
「うん、わかってる」
美咲は恭輔の言葉に答えはしたものの、これからどんな目に会うかと考えると胸の鼓動は激しくなった。
大丈夫、なんとかなる。美咲は自分に言い聞かせ、山に登り始めた。