24年の最後
「余命9ヶ月です。」
9ヶ月前に最近体の調子が悪くて病院に行った。数日後に医師に言われた言葉はこれだった。辛いこともたくさんあったけど、なんだかんだ幸せ者だった。もう俺は死んでいる。もう間も無く空へ逝くことになる。
これから話していくのは俺の24年間の人生。
最初の記憶は両親と手を繋いでマンションを歩く俺の姿。多分五歳ぐらいだったかな?母さんも父さんも大好きだった。と思う。ちょっと飛ぶけど、13ぐらいの時から両親を愛せなくなっていた。理由は多分、母さんとしては気にさせてあげたくなかっただけなのかもしれないけど、相談を無かったことのように扱うことと、父さんが社会的に成功するための術ばかり俺に話していたから、そして、弟が親大好きで自然と俺と両親の話す時間が減っていったんだと思う。でも、両親は俺のこと、大好きだった。愛してくれていた。
せめて、キクミがそばに居てくれたらきっともう少しマシだった。
キクミは俺の幼馴染で、ルックスも良くて、負けず嫌いで、でも根は優しくて努力家。俺が恋をした、最初の人で、最後から二番目の人。学校でも仲間はずれにされるような変わり者で、メソメソしがちだった俺となんだかんだ言って俺の人生で一番仲が良い人なのかもしれない。
小学3年生の時に、キクミは海外にいった。親の仕事で、次に会えるのはいつになるかわからない。もしかしたらもう永遠に会えないかもしれない。それは当たった。もう二度と、俺とキクミは話すことが無かった。告白もできていない。
学校での嫌がらせはキクミがいなくなったことでエスカレートした。もうこの人生を諦めてしまいたかった。
それでも生きた理由は今でも大好きな人が同じ空の下にいると信じていたからだと思う。それと、彼らのエンタメに心を惹かれたから。
とあるアイドルグループ、エスペランサ。通称エスペラ。アイドルでもあるけど彼らはその…結構お笑いに走っていた。面白かった。笑うだけで、こんなにも救われることを知った。
それからというもの、俺は何か辛いことがあってもエスペラさんに元気付けてもらっていた。いつしか、世界一尊敬する人になっていた。
俺が19になった時、エスペラは国民的アイドルになり、事務所を構えていた。俺は、後輩グループのオーディションに参加した。活動名はナキ。倍率はとんでもなかった。もうめちゃくちゃ頑張った。エスペラさんのようになりたい。その気持ちと努力が成就し、合格通知が届いた。そして、マイルストーンズとしてデビューした。それからの5年間、本当に幸せだった。先輩とメンバーに恵まれて、デビューしてから3年後に可愛い後輩、ヘキサブルームもできた。なのに、あと9ヶ月しか生きれないと知った時は、もう………。おっと、もうここには居られないみたい。空に逝ってくる。じゃ。




