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言葉と意味

作者:頼住悠
高校2年生の一ノ瀬 結(いちのせ・ゆい)は、ある日、自分の使う「言葉」とその「意味」が少しずつずれていくような違和感を覚え始める。言葉は書けるのに、その意味がわからない。概念として浮かび上がらない。
そんな不安をきっかけに、彼女は倫理のノートをただ写すだけではなく、「意味」を縫いとめるように丁寧に書き写す習慣を始める。

放課後の教室、静かな家庭、友人・柚子との会話。言葉が空回りするような感覚の中で、「これはこれ」「あれはあれ」とつぶやきながら、自分の中の言葉と概念のつながりを確かめていく。
やがて彼女は、特定の言葉──「自由」「責任」「誠実」「自己」など──にだけ強く反応している自分に気づく。それは、記憶ではなく感覚でもなく、自分の中で意味が形をなしていく瞬間だった。

言葉に意味が宿るとき、それは自分自身を縫いとめる行為でもある。倫理の先生・吉原や、直観的に物事を捉える友人・柚子、そして心の内側に響く〈声〉との対話を通して、結は次第に「書くこと」と「考えること」、「わかること」と「感じること」の境界をまたぎながら、自分自身の言葉を見つけていく。

そして最終話。結はついに、自分自身の言葉で、「自由」や「誠実」、そして「自己」という概念に向き合い、ノートの最終ページに綴る。言葉は概念の形を与え、自分の思考に輪郭を与える。その実感の中で、彼女は静かに、生きることの確かさを抱きしめる。

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