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マルボロー新年ー

弓枝と、今は大晦日。1999年も、あと六時間で終わり。さっき、アトリエで三作、描き上げた。師匠にも挨拶をして、来年から新人が来るから、指導にも、あたってほしい、と言われた。俺と同じ年の女の子が新人として来るらしい。弓枝といつもの部屋。そうやで、この数日、亜希子ちゃんが言葉で俺を楽しませてくれた。ほんま、感謝や。中島の事は忘れたい。そういう想いやけど。弓枝とお揃いのマルボロを吸う。明日は仕事やけど、昼から。弓枝を抱いて、二人の時間。街は暴走族でうるさい。けど、まあ、ええか。紅白マルボロ。二人で、みかんを食べながら。年が明けるのを待ってる。来年、2000年か。神の子、万歳。

「ええことしてあげよか」

「何、ええことって」

弓枝は楽しそうにフェラチオを始めた。気持ちええ。さすがは女優さんや。二人で笑いながら、ベッドの上で抱き合って。セックス三昧の大晦日。こんな経験が24歳になって初めてやなんて。

「なあ、来年、鳥取へ二人で行かへん。旅行しようよ」

「そうやな。行こか。旅行か。女の子と旅行なんて、俺、初めてやで」

「まあ、ええやん。二泊ぐらいする」

「そうやな。そうしよか」

俺等は日本酒を呑みながら。二人。でも、弓枝の出演作は観たくない。まあ、ええけど。酒が進む。ええ酒や。携帯の電源も切って。また、二人、マルボロに火を点けて。

「ただいま、薫、おるんか、弓枝ちゃんも」

「おるで、待ってや」

親父が帰って来た。店は、真美と亜希子ちゃんに任せたみたいや。親父も、いつものマイルドセブンからマルボロへスィッチ。やっぱ、親子やな。

「薫、弓枝ちゃん、これ」

「何これ」

「宿泊チケットや。お客さんから、貰った。大阪城近くのホテル。なんや、よくわからんけど、セミスィートルームのチケット。弓枝ちゃん、薫と行ってきてよ」

「いいんですか、こんな豪華なもの」

「ええやん、俺、行く人、おらんし。お前ら、二人とも休まなあかんで。薫、シフト、上手く組むから、弓枝ちゃんと行ってこい。これがお年玉や」

「わかった」

親父が笑顔で酒を呑む。三人でリビング。マルボロを吹かしながら。紅白歌合戦も始まった。おせち料理も、神崎さんから貰ったらしくて。親父、幸せそうや。大阪城か。三、四年前、デッサン旅行で師匠と二人で行った。あの時は大変で。大阪城を描きよったら、チンピラにからまれた。絵の具、キャンバス、全部、抱えて二人で逃げた。俺は、今、幸せや。鐘も鳴り出した。さて、紅組優勝。明けましておめでとうございます。親父はイビキかいて寝てるけど。それだけ、疲れてるんやな。弓枝と、二人、部屋へ戻って。横になって、キスをして。俺等も眠るとしよう。起きたら、初詣へ。


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