8/22
エピソード8
「おい、正一……今どこにいる?」
『ん? どうした、アオイ?』
「話がある。すぐに会えないか?」
アオイは震える指で通話を切り、待ち合わせ場所へ向かった。
公園のベンチに座る正一を見つけると、アオイは駆け寄り、真正面に立った。
「正一……お前、あの幽霊のこと、本当に何も知らないのか?」
正一の表情が、一瞬だけ固まる。
『……幽霊? なんの話だよ。』
「とぼけるな。お前が、あいつの“最後の希望”を潰したって言われた。」
アオイは息を詰まらせながら正一を睨んだ。
「お前、本当に何も知らないのか?」
正一の目が、微かに揺れた。