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空の目
「 ―― おれの精がほしかったら、せいぜい楽しませろ。 そのかわり、おれの気がむいたときしか、おれに触るな」
「わかったわ。『餌』は、じぶんでさがすわよ」
いつのまにか膝にのった女が、目を光らせるようにホーリーをみつめながら顔を寄せた。
とたんに、ぎゃっ、と小さくさけび、床に転げる。
「 ―― まだ触る許可してねえだろ。 《最小の呪い》でもこれぐらいだ。 おまえも魔族の一種ならそれぐらいすぐ治るだろうが、しばらくは痛むだろうなあ」
うめく女を楽しそうに見下ろすと、テーブルに残ったままのワインの瓶をそのまま飲む。
「 くそったれキラ種族! あんたらなんか、『空の目』に早く消されちまえ!! 」
「バカが。『空の目』は見てるだけで、おれたちに何もできねえ」
冷たく見下ろす男に、腹をおさえてにらみあげる女の口元がふいに微笑む。
「『バカ』はどっちよ? 『空の目』には『力』があるわ。 そりゃもう、あんたらキラなんて、足元にも及ばないほどのね」
「・・・ぶっ、ぶぶっ、ぶっはっはっは!おい、そりゃいったいどこのホラ話だ?」