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スネイキー
食堂の椅子のひとつに乱暴に腰を落とし、テーブルクロスの下をにらむ。
「――― おい、なにしてやがる?聞こえなかったか? この城は、今日から、このおれのもんだ」
足を組み直して宣言すれば、にらんだ布が揺れ、黒髪の女がのそりと現れる。
白い肌をひきたてる、赤いドレスの胸元をさらに自分で引下げながら、ホーリーへゆったりと近づくと、皮肉気に口を曲げた男の首に腕を巻きつけ、こぼれそうな乳房を肩口に押し付けながらささやく。
「あたし、スネイキーっていうの」
「 見ればわかる。スナー種族だな? 力のある種族の男に、必ずひっつくっていう。 だが、おれは《キラ種族》だ。あいにくと、おまえらが必要とする精力は薄いぞ」
「知ってるわ。 でもあなた、見かけいい男だし、ほかの《キラ種族》よりは、濃そうだもの。おまけに、 ―― 横暴なその力は、絶対的」
ぽってりとした唇がとがり気味の鼻先を甘くかむ。