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前編






※残酷な描写ありは、暴力表現があります。後半に予定です。

実験的な作品です。一部、拙作「渋々、婚約破棄をする王太子の話」とかぶります。


 目が覚めた。見知らぬ天井よ。確か、私は謎の熱病にうなされて、お仕事で忙しいお父様が、1日1回は顔を見せられて、回復術士や、お医者様に怒ってましたわね。

 お母様は、社交を全て、キャンセルして、看護の指揮を執られていましたわね。

 妹のメルル・・メイドのアンたちが、泣きながら看病してくれたわね。


 回復術でも治らない熱病だから隔離されたのね。


 さあ、早く、顔を見せて、安心させてあげなければ・・・


 上半身を起こすと、部屋の全貌が見えたわ。


「ウゥ、臭い・・・それに散らかっている。物が散乱しているわ。もしかして、何か政変が起きたのかしら」


「ヒィ、化け物、オーク?!」


 違う。鏡だわ。もしかして、私?!体重が80キロ以上あるじゃない・・


「オークに憑依した!」


 よく見ると、私たちの文明では作れない物が沢山ある。

 ここはどこ?

 ドワーフの国


 私は慎重に、ドアをゆっくり開ける。

 これでも軍事貴族の娘よ。しかし、もし、魔王軍がいたら・・・


 ガチャ


 廊下の先には、狭くて急な階段。

 ゆっくり、足音を立てないように降りていく。


 これは、引くのかしら。


 ガラガラ


 女がいた。人間ね。この家のメイド長かしら。炊事場で、水の魔道具で食器を洗っているわね。料理メイド?


「ヒィ、陽子!どうしたの。部屋から出て来て!ご飯、いらないって言うから」


 言葉が通じる・・・私の世界の言語ではないのに


「あの、ここはどこですか?そして、貴方は誰ですか?・・・」


 この体の女の記憶がない。しかし、状況から見て、あれは、母親。


 私は慌てふためくこの体の母親に、事情を話した。


「そうね。そうね。よく話してくれたわね。病院に行きましょう。ヒィ、怒らないで気分転換よ」


「はい」



 ☆会社


 ピロピロ~


「もしもし、貞子か。どうした」

「貴方、貴方、陽子が部屋から出て来て、記憶喪失みたいなの。今から病院に行きます!」

「今日は、残業を切り上げて、定時に帰る・・・何!記憶喪失かもだと!今行く!」


「部長!娘が大変なので、早退させて下さい!」

「ああ、分った。後はこちらでやっておく。急ぎ・・いや、気を付けて帰りなさい」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ☆家


 その後、夕方に、この女の家族が集まり。

 私は事情を話した。お父様、お母様と弟君の三人ね。


「・・・・・異世界での生活は以上です。私は女神様が統べる世界から来ました。そこでは侯爵家の娘でございました。その国の王子殿下の婚約者候補でした。私の名前はフレデリカ・ロザンです」


「う~む」

「・・・・」

「姉ちゃん。もしかして、前世を思い出した系!?」


「いいえ。和樹さん。前世ではありません。魂が乗り移ったというのでしょうか?」


「とにかく、母さん。負担をかけるが、お湯の出し方も分らないそうだな。しばらく、つきっきりで、面倒を頼む。和樹も母さんを手伝うのだぞ。私もできるだけ手伝う。車を出すときは言ってくれ」


「はい」

「分ったよ」


「あの、皆様、娘様の体を占拠してしまって、申訳ございません。誓って、私の作為ではございません。

 どうか、戻るまでよろしくお願い申し上げます」


「「「・・・・・・・」」」


 おかしくなったけど、おかしくない。と三人は感じた。



 ☆異世界

 侯爵邸、中庭


「今日はフレデリカ様の回復祝いでございますわ。さあ」

「回復してから一週間、通常の食でいいとお医者様から許可を受けましたから遠慮せず」


「キャア、ケーキスタンド!?美味しそう!全部食べて良いよね!」


 パク!パク!パク!


 ・・・フフフフ、目が覚めたら、お姫様になっていた。ここは小説の世界ね。

 私は侯爵令嬢フレデリカよ。

 姉ばかりに厳しく教育して、妹は甘やかされまくる設定に違いない。

 そして、王子は馬鹿で、聖女は淫乱。側近も聖女に夢中ってところかしら?


「ねえ。もっと、ケーキない?紅茶じゃなくて、コーラ・・アイスティちょうだい!」


「「「えっ」」」


「アイスティ知らないの?分った。私が作り方教えてあげる。厨房に案内して」


「お嬢様、それは」

「早くして、私は侯爵令嬢よ!」

「「「はい」」」


 ☆厨房


「ええ、冷蔵庫ないの?」

「・・・れいぞうこ・・とは何でございましょう」


「うひょー、ジャガイモある。ポテチ作れるじゃん。私が教えてあげるわ」

「え、とそれは・・・」

「まず。細かく、お札のように切って」


 ・・・フフフフフ、これで、料理革命を起こせるわ。内政チートをして、商会を立ち上げていくわ。


 ・・・・


「あの、お嬢様、このデザインのドレスは・・申訳ございませんが、酒場の酌婦か、その言いにくいのですが、娼婦の衣装に近いかと・・」


「作れないの?」


「・・・田舎の方では、作業する村娘さんが、膝下のスカートをはいておりますが、お忍びで行くための服なら、市井で売っているものをお求めになった方が宜しいかと存じます」

「作れないのね!」


「・・・はい、当商会において、このような服を作れば、信用が落ちます」


 ・・・本当に頭が固い。私は有名デザイナーにもなれるのに、何故、私のアイデアを賞賛しないの。


「じゃいいわ。帰って!」


 コンコン!


「あ、お母様!」

「フレデリカ、調子はどうですか?」

「ええ、すっかり良くなりました」

「そう、学園はしばらくお休みでいいと学園長からの言付けです。・・・しばらく、好きになさい」


「はい、お母様!」


 ・・・あれ、何か優遇されていない。もしかして、愛され令嬢の設定かしら



 ☆執務室


「旦那様、奥様・・・フレデリカお嬢様が、おかしくなりました」


「ええ、分っていますわ。今、カゲに調査を依頼しています。そのまま望むままにしてあげなさい。身の危険を感じたら拒否をしていいわ」

「そうだ。お前達も何か気が付いたら、すぐに報告だ。私は仕事を全てキャンセルしたから、執務室にいるぞ」


「「「畏まりました」」」


 フレデリカの奇行の報告は続く。


「奥様、大変です。メルルお嬢様と面会を拒絶しています」

「寄子のお嬢様方とトラブルを起こしています!」


「そう、私がいくわ」


 ☆


「グスン、出来ませんわ。こんなダンス!恥ずかしい」


「ええ~私の言うことが聞けないのかしら・・・」


 ・・・折角、キックショッキングでバズっていたダンスを教えてあげようとしたのに、

 ハッ、これじゃ、まるで、イジメをしているようだ。でも・・・


「フレデリカ、来なさい。殿下から宝石の贈り物が届いたわ」

「はい、お母様」




最後までお読みいただき有難うございました。

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