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5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ

挑戦

作者: 江部 保志

※うっすーい微エロ注意のためR15です。


ワザと二人の性別がわからない書き方に挑戦してみました。

異性でも、同性同士でも、なんだったら貴方の推しカプに変換して読んで頂いても結構です。

 チチュン、と雀の鳴き声がガラス窓の向こうで聞こえた。

 あ、朝チュンてやつだ。と思いながら君の背中を見つめる。知らなかった。こんなところにホクロが有るなんて。君自身は知ってる?

 ぴったりと触れていた肌の熱となめらかさを楽しんでいたら、その向こう側から、あきらかに後悔の色が滲んだ声が漏れる。


「なんでこんなことに……」


 君はそんなことを言ってベッドから出て、床に脱ぎ散らかされた服を探している。君が離れてしまったことで、さっきまで温もりを保っていた身体は急激に冷たくなっていく。まるで自分の心と比例しているみたいだ。

 なんで、こんなことに、か。無神経で残酷なその言葉と態度に軽く傷つく。でも傷ついたことを表に出してはいけない。バレたら終わりだ。もう友達にも戻れなくなる。


「なんでだろ……? 寂しかったから? 人肌恋しいとか、そういうやつ」


 あくまでもこれは過ち、という体でぼうっとした顔と声を作る。勿論こんなこと、やったことないから初めての挑戦だ。演技だと見抜かれてしまうだろうか、怖い。


「ごめん!」


 君が両手を顔の前で合わせた。あ、ヤバイ。演技を見抜かれなかったのはいいけど、謝られるのはもっと傷つく。


「ごめんってなに」

「え」

「別に謝る事ないと思うけど?」

「だって、好きでも無いのに……その、ヤッちゃって」

「ぷふっ、真面目か!」


 真面目だよね。そんなところも好きだ。でも今は絶対に言ってあげない。


「いいじゃん別に。お互い今は恋人も居ないんだし」

「や、だけど」

「うちら、意外と相性良かったと思うけど。そっちは良くなかった?」


 君の顔が、首筋が、みるみるうちに朱に染まった。昨夜の事を思い出したらしい。それは「良かった」って返事と取っていいかな。


「……もう一回、しようか」


 ベッドに寝たまま、朱くなって立ちつくしている君を上目遣いで挑戦的に誘う。

 君の弱い所全部知りたい。それを全部攻めて、グズグズに甘やかして、絶対に友達ではいられないようにしたい。そんな気持ちを閉じ込めた指先を君に向かって伸ばす。


「ん?」


 するのかしないのか問いかける様に言うと、君の指がおずおずと伸び、自分のそれに絡められた。


「ん」


 思わず笑みが零れてしまう。ああ、いけない。まだ気持ちは知られてはならない。君を手に入れるまで。


 挑戦はまだまだ続く。



お読み頂き、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] 「何でこんなことに」「ごめん」「だって、好きでも無いのに……その」  グサグサグサー!  主人公さま、あと少しで手が届くよ~!  ファイトっ!
[一言] ジワジワくるエロさ……! 練習じゃなくて、挑戦ってのが、マジな感じがしますね。 本気で愛し合ってそう。
[良い点] 相手の背中にある黒子に気付く場面が、何とも艶めかしいですね。 何しろ背中の黒子は、互いに素肌を晒して長い時間を共にしていたからこそ気付ける点ですからね。
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