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第92話 繁栄の儀の正体

「モナカー」


 ナユダさんが戻ってきたようだ。

 って、布団を抱えている。

 用事って新しい布団を取りに行っていたとかか?


「お帰り。なあ、みんな布団敷いているけど、繁栄の儀は?」


 ナユダさんも布団を敷き始めているぞ。


「だから今準備してるんだよ」

「布団を敷くことが?」

「布団無しは痛いでしょ」


 無いと痛い?!

 マット的な使い方でもするのか。

 プロレスみたいにドタバタするとか。

 それで誓い合う?

 意味が分からない。


「まさか……」

「ん? デイビーはなにをするのか分かったのか?」

「いえ、気のせいでしょう」

「気のせいでもいいから言えよ」

「口に出すのも破廉恥なこ……と……で…………」

「なんだそれは……ん?」


 なんか甘ったるい匂いがしてきたぞ。

 あれは壷?

 みんな小さな壷を枕元に置いているな。

 あの壷から匂いが出ているのか。


『マスターマズいわ。外に出ましょう』

ナース(タイム)? どうしてだ』

『匂いの元は壷の香木よ』

『香木?』

『ええ。そしてかなり強めの催淫作用があるわ』

『……はあ?!』


 催淫って……エロい気分になるってことだよな。

 しかもかなり強め……強め?


『強めの作用がある割に俺はなんともないようだけど?』


 別に興奮もしていないし、分身体も大人しいもんだ。


『マスターの体調管理はナース(タイム)がやっているのよ。この程度防御できなかったらナースキャップを返上するわ』

『そ、そうか』


 ならさっきの緊張もどうにかしてくれ。


『あくまで外的な要因の話よ。そういう自然な反応に関与なんて無粋でしょ』


 それもそうか……ん?

 俺、口に出していたっけ。


「………………」


 こいつ、なに視線逸らしてやがんだ。

 はぁー。いや、そんなことを気にしている場合じゃないっ。


「時子っ!」

「な、なんなの、これ」

「時子……大丈夫なのか?」

「え? な、なに……が?」

「時子もナース(タイム)がある程度防いでるの。でもマスターみたいに完全防御は出来ないから、長く居たら影響が出てくるわ」

「分かった。デイビー、ナームコ、出るぞ」


 って、デイビーの様子が明らかにおかしい。


「デイビー、私と繁栄の儀をしましょう」


 なんか誘われているし。

 でもデイビーなら。


「はい、お願いします」


 デイビー?!


「遅かったみたいね。普段抑えている分影響が早いみたいよ」

「抑えている?」

「もしくは耐性が無いか、ね」


 どっちにしてもマズい。


「おいデイビー、なにやっているんだ」

「ああ、モナカ様。貴方も御一緒にこの方とどうですか」

「なに言ってるの。モナカは私の相手をするのよ」

「ナユダさん?! なんで裸なの!」

「もー、繁栄の儀をするのに服なんか着てたら邪魔でしょ。ほら、モナカもさっさと脱いで」

「脱がないよ! って、デイビー! お前はなに脱ぎ始めているんだっ」

「おかしなことを仰りますね。脱がなければ繁栄できないではありませんか」


 ダメだ。完全にイってやがる。

 ええい、ダメ元でこれならどうだっ!


「奥さんに浮気報告するぞ」

「…………はっ、ぼ、僕は一体なにを。ひぃっ。は、裸の女性が。ち、近づか……ひゃあっ、なんで僕は服を脱いでいるんですか」


 よかった。正気に戻ったぞ。


「いいからさっさと着ろっ! 外に出るぞ」

「モナカ? 私と繁栄の儀をしてくれるんでしょ」

「ごめんっ! その話は無しで」

「えーっ?! 嘘でしょ!」

「なら私と繁栄しましょう」

「いいえ、私と繁栄しましょう」


 なにこのモテ期。

 こんなモテ期は要らないっ!


「お断りしますっ!」

「モナカ! やーくーそーくーっ」

「時子、私と繁栄しませんか」

「え? あ……う……」

「いやいや、私と繁栄しようではないか」


 くっ、時子も狙われているのかっ。

 ヤバい、逃げ場が無くなる。

 急がないと。


「時子、なにボーッとしているんだ。出るぞ」

「あ? う、うん……」

「鈴? 鈴は何処だ!」

「ナームコさんがとっくに連れて出てったよ」

「本当か! よし、行くぞ!」

「行くって何処へ?」

『船の中だっ!』

次回、脱出です

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