第91話 情報交換
「首尾はどうなの?」
「いえ、それが船に関しては中々分からず」
「まったく……愚図なんだから。そんなことでは進化の儀について取り計らうのも難しいわね」
「それだけはっ! も、もう少し……もう少しお待ちください」
「チッ……いつまで待てばいいのかしら。ふぅ。なら場所はどうなの? 彼らの結界は何処にあるか分かったのかしら」
「その……それもまだ……」
「ふんっ。この役立たずがっ。それで、食事はどうだったの? 大した騒ぎになっていないようなのは何故かしら」
「それが……食べさせる前にバレてしまいました」
「はぁ……本当に使えないわね」
「ですがモナカとトキコの2人が全員分を食べました」
「食べた? 食べた人間がどうなっかのか、見ていたのよね」
「……はい。しかも5人分を2人で食べました」
「はぁ……そんな馬鹿げた話を私が信じるとでも思ったの?」
「嘘ではありません。本当なんです」
あり得ないわ。
私は1人前ですら食べきるのがやっとだったというのに、5人前を2人で?
貴方がこんな嘘を吐くメリットは無いでしょうけど、俄には信じられないわ。
「それで、2人はどうなったの」
「それが、美味しかった……と」
「馬鹿なの! 味の感想なんて聞いていないわよっ。どうなったのかを聞いているの」
まったく。
言葉が理解出来ない下等な生き物を相手にするのは疲れるわ。
「ですから、美味しいと言いながら食べました」
「…………」
「…………」
「それだけ? 他にもなにかあったんでしょ。隠さず言いなさいっ!」
「いえ、それだけで特になにも……」
「馬鹿な……そんな量を一度に食べれば即死してもおかしくないのよ。貴方、本当に食べさせたんでしょうね」
「はい。嘘偽りありません」
「なんてこと……一体なんなの彼らはっ。アニカも変化が全く見られないし。どういう身体をしているのかしら。これではガイスト様に献上できないじゃないの」
「…………」
本当に彼らは人間なの?!
あんな不味いものを美味しい?
しかも一度に沢山……
他の土地の人間だから?
まぁいいわ。いざとなれば力尽くで手に入れればいいだけよ。
「とにかく、なんとしても船のことを調べるの。さもなければ……分かっているでしょうね」
「はっ」
……本当に分かっているのかしら。
所詮人間ね。
「これが明日の予定よ」
「はい」
「彼らの力を見るのに丁度いいでしょ。レジスタンスどもを利用して戦わせるように仕向けなさい」
「話に乗るでしょうか」
「それは貴方の仕事よ。いつもどおりやりなさい」
「……分かりました」
「もう戻りなさい。怪しまれても都合が悪いでしょ」
「はっ」
…………ふんっ、もう1人も行ったようね。
バレていないとでも思っているのかしら。
まぁいいわ。些細な事よ。
どっちがどう動くか、楽しみね。
反抗的なあいつが殺せるならどうでもいいのよ。
逆に彼らが殺されるなら大した脅威ではないということ。
どっちに転んでも計画通りよ。
ふふっ、役に立ったら美味しく頂いてあげるわ。
次回、いよいよ始まります




