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第77話 末は魔神か魔神王か

「仕度は出来たか」


 ワンさんだ。


「……アニカは元気そうだな」

「はい」


 そう言った矢先にお腹がぐぅと鳴ってしまった。


「っはっはっは! 本当に元気みたいだな。貴方のような人間は今までで初めてだ。普通は食欲どころじゃないからな」


 うう、恥ずかしいよぅ。


「あれを美味いと言うだけのことはある。本当に同じ物を食ったのかと疑いたくなるくらいだ」

「はぁ……」


 1口目の味が最後まで続いていたら、途中でギブアップしてたよ。絶対!

 あれは人が食べていいものじゃないって。


「他の者は……いつもどおりか。3人の中から魔神(まがみ)が生まれるとしたら、アニカで決まりだろう」

「うう……」

「くっ……はぁ、はぁ」

「おめでとうございます」

「わぁ、凄いですね」

「そう……ですか」

「あははは……」


 うえぇ、ヤだなぁ。

 他の2人はそれどころじゃなさそうだし、付き人の3人は、2人は喜んでるみたいだけど1人は落ち込んでる。

 やっぱり自分が担当してる人じゃないのは嬉しくないのかな。


「待て待て、まだ気が早いぞ。まだ仮の話だ。決まったわけではない」

「「失礼しました」」

「そうですよね!」


 分かり易い反応だなぁ。

 でもボクは魔人に……じゃなくて魔神(まがみ)になるつもりは無いからね。

 だけどもし……もし魔神(まがみ)になってしまったら……

 退治されるなら、モナカくんがいいな。


(安心せい。毒素なんぞワシが焼き尽くしてくれるわ)


 っはは。頼りにしてるよ。


「貴方1人元気なようね」

「ダボ? 何故ここに貴方が居る。ここは私とドライバーの管轄だぞ。」


 えっと、確かナユダさんを連れてった人だっけ。

 なにしに来たんだろう。


「ふん。アニカとかいう外の人間が居るんでしょ。だからよ」

「アニカが? そのことに関してはあい……」

「〝あい〟?」

「……あーアニィカに関しては魔神(まがみ)王から一任されている。貴方の出番は無い」

「ふんっ。情報を独占するつもりなのね」

「報告はきちんと上げてるだろ」

「実際に見てみなければ分からないわ。だから来たのよ。貴方の報告書にはアニカがこんなにも元気だなんて書かれていないもの」

「当たり前だ。私も今知ったばかりなんだからな」

「ふん。やっぱり報告書に書かれてないんじゃないの」

「書かれてないって……」


 なんか凄く無茶苦茶なことを言う人だな。


「こういうことが無いように私が来たのよ」

「分かった分かった。今すぐ書いてやるから、待ってろ」

「ふんっ、最初からそうすればいいのよ。全く、使えないわね」

「…………」

「なによ」

「なんでもねぇよ」


 ワンさんも大変だな。

 ……なんか、ジロジロ見られてるんだけど。

 気持ち悪いなぁ。


「ふんっ。本当になんともないみたいね」


 あっ、顎を摘ままれた!


「ふーん」


 なんか品定めされてるみたいでヤだなぁ。

 そんな舐るように見ないで!

 鳥肌になっちゃうよ。


「あっ、ダボ! なにやってるんだ」

「五月蠅いわね。見てるだけよ」

「触ってるだろっ。止めないかっ」

「痛っ! なにするのよっ」

「触るなと言ってるんだ」

「だからって手を叩くことないでしょ! ガイスト様に言いつけてやるっ」

「好きにしろ。それよりほら、報告書だ」

「ふんっ。もうとっくに私が報告したわよ。この愚図」

「なっ……」


 えっ、いつ何処にしたの?!

 全然そんな素振り無かったのに。

 無茶を言うけど、自分は出来ているからこそなんだね。

 ボクにはとても真似できないよ。


「今回の処分は決まり次第報告します」

「はっ。処分を受けるのは貴方の方だろっ」


 ホントに凄い人だな。

 良い意味でも悪い意味でも。


「まったく。なにしに来たんだ。アニカ、顔は大丈夫か? 痛くないか? 痒くないか?」

「いえ、なんとも」

「…………本当みたいだな。魔神(まがみ)に触られたのに綺麗なままだ。貴方はもしかしたら、魔神(まがみ)王にすら成れるやもしれんな」

「うう……」

「くっ……はぁ、はぁ」

「本当ですかっ」

「うわぁ、凄いなぁ」

「そんな……」

「あははは……」


 それもヤだなぁ。

 でもありがとう。


(なに、当然のことをしたまでじゃ。あのままあの若造を焼き滅ぼしてもよかったのじゃがのぉ)


 ダメだよそんなことしたら。


(ふぉっふぉっ。アニカ様は優しいのぉ)


 でも若造か。

 確実にボクの倍以上年上だと思うんだけど、火鳥(カタヨク)と比べたら大体そうなっちゃうよね。


「では広場に行くぞ」

「うう……」

「くっ……はぁ、はぁ」

「「はいっ」」

「はい……」

「……はい」

次回、鈴ちゃん退場

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